第四話 地獄の授業 前編
「着いたぞ。地獄の授業は他の授業とは違って教室ではやらないんだ。ここなら広いから全力で戦えるってわけだ!」
ティーラは楽しそうに話していたが、急に真剣な顔をした。
「あらかじめ言っておくけど勝とうなんて思うなよ!先輩は剣に特殊な能力があるから勝てるはずがないんだ。まぁ、これも戦ってみればわかるんだけどな」
「うん、頑張る。それで、ちょっと気になったんだけど、どうすれば勝ち負けが決まるの?」
「良いところに気が付いたな!お前センス良いぞ!勝ち負けはどちらかが動けなくなった時に決まる。動けるか動けないかの判定は先生が判断するから大丈夫だろう。しかし、先輩がものすごい速さで攻撃をしてきて、死んだやつがいるって噂だ。間違っても手は抜くなよ。」
ティーラ君の話を聞いたらすごく緊張してきた。どうしよう。死んだ人もいるって聞いたら余計に恐いよ。逃げたい…
「みんな集まったな!それでは卒業試験を始める。名前が呼ばれたら前に出てきなさい。対戦相手はくじ引きで決める!それでは解散!」
授業が始まってしまった。やばい、緊張がとまらない…助けて…誰か僕を助けて…
放送がながれた
「第一回戦!卒業生ヤイバVSシャイン!両者は前に来てください!他の者は見学!」
シャインってあの香水臭いシャインさん?そういえば同じクラスだった。
見に行こう!
やっぱりシャインさんだ!頑張ってシャインさん!香水の臭いで相手を倒しちゃえ!
こころの中でシャインさんを応援して僕は戦いを見学した。
「女だからって手加減はしないよ。勝たなきゃ卒業できないんだ」
「承知しています。あたしも出来る限り抵抗してみせるから」
「試合開始!」
始まった!卒業生はいきなりシャインさんに斬り掛かった。
シャインさんはかろうじで剣で受けとめた。
その後、剣を器用に扱って卒業生の足を斬った。でも傷口は浅い。少しだけ血がながれている程度だ。
「やるじゃん!さすがは香水のシャイン!攻撃を仕掛けた瞬間に香水を使い、鼻に意識を移らせ、俺の動きを鈍くするとはたいしたもんだよ。だけど、これで終わりだ。」
その瞬間、シャインさんと卒業生のまわりが水に囲まれた。
水のせいで試合がわからない。
今どっちが勝ってるのだろう。
「試合終了!勝者ヤイバ!」
え?シャインさん、負けたの?それよりもどうして判定がでるの?僕は水のせいで試合がわからなかったのに。
そうか!先生は生徒が死なないように決着をつけたんだ。
いつのまにか水は消えていた。
「香水のシャイン。相性最悪だったね。水は臭いを消すことができるし、香水の臭いは近距離しか効果がない。俺の水は遠距離攻撃だから、君が勝てるはずがないんだよ」
それをみた僕はティーラ君の言っていた特殊な力を理解した。
シャインさんは保健室へと運ばれた。