第三話 自己紹介
目を開けると女の子が座っていた。
「うっ!…………ここは?」
「あ、起きた?ここは保健室だよ。カイト君、だっけ?教室に入った途端に倒れちゃうんだもん。びっくりしちゃった。緊張してたの?でもそれはしょうがないよ。あたしだって初めてここに来たときは緊張したもん。ぁあ、懐かしいなぁ。あの頃は何もわからなかったんだよねぇ。あたしはここにきて3年だからねぇ。早く卒業して剣を片手にいろんな所へ旅に出るのがあたしの夢なの。卒業まであと13年…それと、あたしはシャイン!よろしくね」
よくしゃべる人だな。それになんだか香水臭い。
ヤバい、気持ち悪くなってきた。
「どうしたの?顔色悪くなってきたよ?先生呼んでこようか?って言ってもあたしは授業さぼってるから無理なんだけどね。水飲む?あのね、保健室の水は冷たくておいしいんだよ!食堂にも水はあるけど絶対ここの水のほうがおいしいよ!気持ち悪くなった時に飲むと気持ち悪いのが治るっ言ってたから飲んでみなよ」
「あの、シャインさん。香水の臭い」
「何?香水がどうしたって?良い臭いでしょ?これ、あたしのお気に入りなんだ!二つ持ってるから一つあげようか?」
「あの、シャインさんの香水、臭いです」
バタン!シャインさんは怒って部屋から出ていってしまった。
「はぁ、助かった。さて、僕も授業に行かなくちゃ」
部屋から出て適当に歩いているとメガネをかけた人が声をかけてきた。
「君は…たしか新入生のカイト君ですよね?わたしは世界科の教師です。カイト君の授業は剣学でしたよね。案内します」
「あ、ありがとうございます。」
僕は言われるがままについていった。
それにしても学校って広いな。迷子になっちゃいそうだ。
そんなことを考えていると部屋に着いた。
「着いたよ、カイト君。あ、先生!カイト君が起きたので案内しました。あとはよろしくおねがいします。それでは失礼します」
「わかりました。
じゃあ君たちはカイト君に自己紹介をしなさい」
先生が言った瞬間、生徒達が順番に自己紹介を始めた。
自己紹介が終わると同時に授業が終わった。
「カイト、教室まで一緒に一緒に行こうぜ!それと次の授業は月に一回しかやらない地獄の授業なんだ」
「ティーラ君?だっけ?地獄の授業って?」
「おっ!記憶力良いな。そう、俺はティーラ。改めてよろしくな!それで、地獄の授業とは文字通り地獄だ。どこが地獄かと言うと、今年卒業する先輩と真剣勝負をすることなんだ。
先輩は手加減はしない。なぜなら先輩達の卒業試験だからだ。わざわざ後輩を試験の相手にしなくても良いと思うんだけどな」
話をしていると教室に着いた。
「…?僕、頭が悪いからそんなに説明されてもほとんど頭に入らないんだ。ごめんね」
「気にするな!ところで、ずいぶん弱気な口調だな。神卵の人は、ほとんどが生意気でむかつくんだよ。でもカイトは正反対だな。気に入った!じゃあ授業に行こうぜ!地獄の授業を体験したら俺が言ったことは理解できると思うから」
僕はティーラ君の話を聞いて恐くなって足がガタガタと震えた。
これから何が始まるのだろう。
先輩の卒業試験という事はやっぱり強いのだろう。
死んじゃうかもしれない。
そんな事を考えて地獄の授業が行われる教室へと足を運んでいった。