雨宿りの幻
超短編です!
雨の日になると、私は高校時代の不思議な雨宿りについて思い出す。
田舎に住んでいた私は毎日15キロ程度離れた学校に自転車で通学していた。
ある日、家から学校に向かう途中で急な土砂降りに見舞われた。雨予報の日は必ずバスを使う私に雨の備えなどもっていない。慌てて、近くにあった歩道橋の下に自転車を止めた。森が近く、後ろからくる雨水をある程度遮ってくれているため、雨宿りには最適な場所だった。携帯を開き雨雲レーダーを見ると、通雨のようで10分程度で止むと教えてくれた。
10分だったが、何もせず一人で雨宿りは落ち着きのない私にとって、いささか手持ち無沙汰だった。暇つぶしのためにアプリで日本史の一問一答を始めた。
「あなたも雨宿りですか?」
隣から男性の声が聞こえた。集中していたのか隣に人が来たことに全く気が付かなかった。いつのまにか雨宿り仲間が一人増えていたらしい。私は声の方に振り向き答えた。
「そうですね、カッパがないので」
男性は目を瞬かせると、
「カッパを傘がわりに使っているのですか?」
と少し声を大きくして聞いてきた。私は戸惑いながらも彼の質問に肯定した。
カッパを知らないなんて、と思ったが、男性は染めたものとは少し雰囲気の違う琥珀色の髪と髪より少しくらい色の切れ長の瞳を持っていた、もしかしたらハーフで外国で育ったの方なかもしれない、と考えた。
彼は少し驚いたような表情をしながら
「彼らは水が好きですしね。人間の方々とカッパはそのような風にカッパと共生しているのですね…。今は森も人も強制の社会ですしね…」
そんなことを呟いた。
その後は私の学校の話や彼の家族の話になった。彼は11人兄弟の長男らしい。幼いころは山をかけて遊んだり、かくれんぼをしたりしていたそうだ。
その時の思い出を笑って語る彼の口からは時折鋭い犬歯が見えた。
それぞれ親離れしてからはあっていないらしい。元気だろうか、と漏らしていた。
あっという間に時間が過ぎたようで、すっかり雨が止んでいた。「雨、やみましたね」そう言おうと思ったら、男性はもうすでにいなかった。男性がいた場所には数本の金色の毛が数本と緑色の木の葉が落ちていた。
最後に男性に挨拶できなかった少しの残念さと、男性はどこに行ったのだろうかという小さな疑問を胸に、私は自転車を漕ぎ始めた。
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