第6話 美少女だと!?(1)
私が涙を流した日の数日後のことだ。
茶髪のゆるふわセミロングでぽっちゃり気味、少し年上のライラ。その隣にいつもいる黒髪ロングのストレートで小柄なベル。
あの二人の先輩が噂を流していたんだ。
あの一件でそれが分かったものの、直接ぶん殴るわけにもいかず。
「ちくしょう! #△☆%してやろうか!」
思い出しては、ラルしかいないことを確認してうっぷんばらしをしていた。
「マルスさん、それ人として完全にアウトな発言ですよ」
あの日、腫れた目で戻ってきた私を、ラルは何事もなかったかのように扱ってくれた。いいやつではないかと思ったけど、今日は今日で反発してくる。
「しかしだな、ラル」
「もう……怒らなければ優し気な美人なんですから、もう少し我慢したほうがいいですよ」
「び、美人!? そう思うか?」
「はい。あっ、美少女か? いや、失礼か」
「いや、いい。そうか美少女か――照れるな」
ラルからでた、私への意外な評価に照れてしまう。吸血鬼は人間よりかは長命だ。そのために老いが遅く、年齢のわりには私は幼く見えるのだろう。
(よかった。女として見られていないのかと思った)
私はその言葉に安心すると、ラルの目前に顔を近づけた。




