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第5話 な、泣くぞいいのか!(3)

「うーん、熱はないみたいですね」

「バ、バカ! 周りが見てるだろ」


 私の言葉に周囲の人間は目を逸らし、見えなかったふりをする。

 コイツ……心臓がドキドキして死ぬかと思ったではないか。


「具合悪かったら、早退したほうがいいですよ」

「な、生意気言うな。お前一人でこれ全部できないだろ」


 目の前にある商品の山、これのチェックをすべて今日中に終えないといけない。一人ではとても無理だ。


「だいたい、私が整形とか借金とか……それに男を引っかけてるわけないだろ、なっ」

「なっ、って言われても」

「なっ、って言ったらそうなんだよ!!」


 なんだ、コイツは私をイライラさせる天才か。何で分からないんだ。


「お前にだけはそう思われたく……ないんだ」


 私はラルに聞こえないようにそう呟くと、なぜか急に視界が少しにじんでくる。

 あれ? ――なんだこれは。


「ちょっ、トイレいってくる」

「わかりました……マ、マルスさん!?」

「いいから、早くチェックしろ」

「はい……」


 私は驚くラルの声を後に、トイレへと急いで駆け出す。


「あれ、喧嘩したの?」

「そうみたい。いい気味」


 ちくしょう、お前らか……今度、本気で殴ってやろうか。

 すれ違った職員の噂話にそう思いつつも、止まらない涙に戸惑う私だった。

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