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第24話 ライバルか!(1)

「マルスはあの人が好きなの?」

「す、好きとか……き、気になるだけだ! お前はどうなんだ?」

「うーん、なんか気になるのよね。こう、なんとも言えない感じで」


 サキは長いまつ毛を揺らしながら、頬に手を添えるとそう答えた。


「だけど、マルスが好きな人があの人なんてね」


 好きと断定するサキに、私は頭を掻いてごまかした。


「だ、だからなんだ」

「ねえ、デートはしたの? キスは?」

「デ、デートだと!?」


 私はその言葉にさらに動揺する。

 デート、デート……えーと、それは恋人同士が二人きりでどこかに出かけるやつで。

 そこまで想像すると、私は顔が一気に熱くなるのを感じた。


「あー、まだなんだ」


 サキは上目遣いでそう言った。


「そ、そ、そ、そんなこと」

「そうなのね。ねえ、じゃなんかしてもらったりは?」

「そ、それは……ブラッシング……」


 その言葉にサキは目を丸くする。

 そうだな、ブラッシングなんて恋人同士でもなかなかしないよな。

 私はそう思うと、勝ち誇ったようにサキを見下した。


「す、凄いじゃない。あの人にやってもらったんでしょ?」

「そ、そうだ。すごいだろ」


 フフフ、私はお前より先を行っているのだ。

 パートのおばちゃんもやってもらってたが、あれはノーカウントだ。


「あの人がマルスのいい人なのね」

「そうだ。だから手を出すなよ」

「嫌よ。私は一度狙った獲物は必ずゲットするんだから」


 そう言って、サキは彼が去っていった先を見つめていた。


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