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第21話 お前、許さん(6)

「こっちが書庫で、こっちが……うーん、物置ですかね。予備の部品とかコピー用紙とかが置いてあります」

「そうなんですね」

「一応、見てますか?」

「はい」


 サキの返事にラルは書庫の扉を開けた。二人は書庫に入っていくと、彼女の手がすっと出て扉を閉める。


「アイツ、なんかする気か!?」


 今までの行動パターンからして、アイツがなんかたくらんでいるのは明白だ。

 何をしようとしてる……そんな不安が心をよぎる。


「うーん、気になる」


 私は危険を承知で扉の前に立つと、耳をそこに押し当てた。幸いにも扉はそんなに厚くない。中の音がまる聞こえだ。


「ねえ、ラルさんって恋人とかいるんですか?」


 ふあ、アイツ直球できたな――そんなことを思い、焦りながらも、さらに耳に全神経を集中させる。


「いませんよ。この辺に機械類の点検簿があります。この年代以降分はサーバーにあるのでそれを見てください」

「あの私……どうですか?」

「どうって? あー、こっちは営業部のやつなんで触らないでください」

「じゃ、なくてですね……」

「パソコンでの確認のやり方は後で教わって下さい。皆、知っているので」


 サキの誘いが全部空回りだ。ふふ、偉いぞラル。

 私がそう思った時、扉の向こうで誰かがノブに手をかけた。


「まずい、隠れないと」


 私は廊下を全力で駆けると、前転して近くの物陰に潜り込む。

『廊下に物を置くな』とよく社長が言っていたが、今回ばかりは誰かが置いた段ボールがあって助かった。


「誰かここにいたような……?」


 ラルはそう言って周囲を見渡すと首を傾げた。

 大丈夫、見られていない。私は内心ほっとするとともに、二人に視線を向けた。

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