挿話 留学準備
※この話はフィクションです。
ホームスティが終わり日本に帰国後、直ぐに社長に留学したい旨を伝える。
「留学していいんダヨ。大丈夫ダヨ!」
社長は笑顔で同意してくれる。
「留学に行き本格的に勉強するのならば、全力で取り組まなければならない」
社長夫人には厳しく言われる。姉である阿姨から色々と聞いているのだろう。プレッシャーを感じる。
なんと留学時の学費及び生活費も会社が負担してくれる事となった。なんて素晴らしい待遇なのだろう、幸甚の極みだ。感謝し切れない。
中国では9月から前期授業が始まるので、8月中には入学手続きを済まし留学に備える計画で行く。
先ずは車の処分だ。マツダロー◯スターに乗っていたが友人に売った。以前働いていたカー用品店で無理やり組まされたホイールセットのローンも支払い終わった。
息抜きの為にPSPを買い、幾つかゲームソフトを揃える。PSP作動音が大きくバッテリーの持ちもイマイチだが、音楽も聴けるので便利だ。
会社の方は大きめのトラブルがあった様だが、何とかなると言われた。
長林大学の周老師からメールが届いた。
「長春に来たら、まず大学に授業料を払ってください。学習ビザはこちらで申請するので大丈夫です。身体検査はこちらの病院でします。それでは到着する日程が分かったら教えてください。寮の部屋を手配します。」
つまり今回はノービザで入国し、大学が留学ビザの手配をしてくれる。そしてそのまま入寮できると判断した。
数人の友人と暫しの別れを済ませる。横浜関内の風俗にも行き英気を養う。マットプレイともしばらくお別れか……。
お土産の準備をする。阿姨の家には夜のお菓子と鳩サブ◯、上の階の少女にはドン・キ◯ーテで買ったペ・ヨン◯ュンに似せたラバーマスクを渡そう。ついでに「日の丸鉢巻」や「日の丸扇子」等も買った。誰かあげることもあるだろう。
あと女性用浴衣も2枚揃える。1枚は甲子に渡すとして、もう1枚はもし素敵な出会いがあるならば、その人に渡そう。
淡い期待が炎となり心を燃やす。
こうして剣崎 祐一は、8月20日に日本とさよならしたのだ。
機上の人となり、はるか上空から微かに見える横浜の街をみた時に涙を流したのは内緒だ……。