プロローグ
~2026年夏~
「暑い!每日うんざりだけど実に暑い。」
私、剣崎 祐一はそういいながら、横浜にある実家の冷房の効いた部屋で冷たい麦茶を飲んでいる。
今日は仕事も休みなのでなーんにもしない。
やることもなし、やる気もなし。暇になったというか暇にしたので、昔の事でも振り返ってみよう。社会人生活の始まりでも思い出してみるか……。
2005年春、大学を卒業し某カー用品店に就職。色々あって生きるのが嫌になり、結果タトゥーも入れて店にバレる。接客業だということで、半年で殆どクビに近い形で退職。店に無理やり買わされたタイヤのホイールセットのローンだけが残った。
もうしばらくはフリーターでいいや!社会コワイ! ってことでその後はピザの配達のバイトに精をだしてたなぁ。
フリーターになって4ヶ月位経った頃、知人からチャンスを貰った。
「知り合いの中国人が会社を経営していて、人手がほしいみたいだからそこで働いてみたら?」
熟考はしたが結局、ちょっと怖気づいて断ったっけ。
もしも、もしもあの時、面白そうだと思って紹介してもらったらどうなっていたんだろうか⋯⋯。
人生にifは無いと言うが、暇になったしちょっと妄想してみよう!
こうして只管に、冷たい麦茶で覚醒した頭を使い妄想してみる。あくまで空想として、ただ只管に――。