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アリスへの手紙  作者: まめ童子
2章
22/30

13話

気づいたら1年経ってましたすみませ〜ん汗

一方、ヴィルヘルムとわかれたヴィオラは木陰に腰掛けて火照る心身を(しず)めようと奮闘していた。


それというのも、あの賢者が、無自覚に色気を振り撒いてくるせいだ。


彼は気付いていないようだったが、街なかの若い女たちは皆、ヴィルヘルムを見て色めき立っていた。彼はそれほどまでに魅力的な男性なのだ。


それなのに、どういうわけかあの男は身体接触(スキンシップ)が多すぎる。


膝枕なんてもっての他だ。うっかりだらしない顔をして見惚れてしまったではないか。


自分はれっきとした年頃の娘だ。距離感をわきまえてほしいと、ヴィオラはなんだか苛々してきた。


そもそも彼は、自分のことは妹くらいにしか思っていないのだろう。でなければこんなに頭を撫でたり密着したりなどできないはずだ。


そう思うと、彼女の胸にぼんやりと影が差す。


(――あの方が、わたくしを見てくださることはない)


アリスについて話すとき、彼はいつも愛おしそうな、切なげな目をして遠くを見ている。


そんな彼を見て、その心がどこにあるのかわからないほど、ヴィオラは鈍感ではなかった。


だから、この恋心はきっと叶わない。


けれど、それでもいいから、ヴィオラはせめて彼の役に立ちたいと、そう思ってきたのだった。


(そう、愛されなくたっていい)


熱はすっかり引いてきた。冷静になった心で、彼女は思う。


(それでも、ただ愛することはできるもの)


それは見返りを求めない、無償の思いであった。


――かつてヴィルヘルムがヴィオラを救ってくれたように。


(それはそうと――)


ヴィオラは険しい顔をして額を押さえた。


(わたくしってば、ヴィルヘルム様を置いてきてしまったわ――)


まさか読んでくれた方!ありがとうございます!

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