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雨過天晴  作者: 田中ソラ
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プロローグ

「すきです」


 そう告げた時、彼の表情は見えなかった。でも嫌悪に塗れているだろう。

 女嫌いの彼が好きだった。友人になんて、恋愛対象になんて見られなかった。でも諦めるために告白だけはしたかった私の我儘で彼を振り回した。


 一言も言葉を発することなく、彼の視界にすら入れないまま立ち去るその背は私の記憶に嫌というほど鮮明に残った。


 多分生涯、忘れることはないだろう。


「ごめんなさい」

 

 そう告げた言葉は、彼の胸に届かなかっただろう。

 こんな気持ちを抱いてごめんなさい。好きなってごめんなさい。女になってごめんなさい。



 貴方と、出会ってしまってごめんなさい。




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