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1.法陣師の俺、「できない奴らだ」と、猫耳スカウト美少女と一緒にパーティを追放される。

「盗賊ペルシィ! 貴様のような無能はこのパーティには必要ない! 追放だ!即刻出ていけ!」


それは、冒険が終わってギルドの手続きを終わらせ、パーティ皆でレストランに行き、夕食を食べようとして席に着いた時のことだった。

騎士、魔剣士、銃兵、聖女、盗賊、法陣師の6名パーティ「暁の月」は、数年前に結成され、ここ最近になって頭角を現してきたパーティである。

それぞれが、リーダーであり、重装備で前線の要となる騎士ルーア=パルセーヌ。鋭い剣裁きで、どんなものでも切り伏せるゴウ=エモーソ。百発百中、狙った的は外さない銃兵のダイ=ケスジー。祈りの力で、パーティ全員の底上げをする聖女ミーネ=ベレスト。探索に鍵開け、遊撃もこなす盗賊のペルシィ。そして俺、魔法陣を使い、他のメンバーのサポートをする法陣師である、ジーン=サンバードの6名だ。

現在のギルドランクはA。一流と称されるランクに上がったのは数日前のことである。


「おいおい、穏やかじゃないな。酔っているのか。ペルシィの力で今回だってたくさんの罠を解除できたし、道に迷わなかったじゃないか。そんな彼女を追放する必要はないだろう」


そういって、俺はフードで顔を隠した仲間の盗賊ペルシィを見る。出会ってから今まで、随分と助けられた彼女の追放はよろしくないと、意見を述べる俺だったが、そんな俺に対して、パーティの他のメンバーの視線は冷たかった。


「ふん、戦闘では前にも出ずに、後ろで震えている貴様がいうことか?」

「魔法陣を張るしか能がない奴は黙っていろよ!」


魔剣士ゴウは俺を見て不機嫌そうに鼻を鳴らし、銃兵ダイはイラついたように俺を見る。

俺の職業、法陣師は魔法陣を使って、パーティの戦力を底上げするのが仕事だ。戦闘中には、その場に応じて魔法陣を変化させたり、祈ることで無防備となる聖女を守ったりしているのだが、


「みなさん、ケンカはよくありませんよ。ジーンさんだって、ペルシィさんだって、出来る限りは頑張っているんですから」


そういって、俺たちをかばうようであり、実のところは見下しているような言い方をするのが聖女ミーネ。

………実のところ、「暁の月」は聖女ミーネを中心に、ルーア、ゴウ、ダイが侍っており、俺とペルシィは一段下に見られている。


「そうは言うがな、ミーネ。こいつらの無能さはさすがに看過できん。盗賊も法陣師も他にいくらでもいるし、もっと有能そうなのをパーティに入れればいいだろう」

「そうだな。ペルシィだけでなく、ジーン、お前も出ていくがいいぞ」

「もともと、お前たち二人は、俺たちの中じゃ格下なんだ。恨むなら、自分の無能さを恨むんだな」


ルーア、ゴウ、ダイと好き放題に言うと、ミーネは困りましたね。というが、それ以上強く注意をすることはなかった。

なんだか、ペルシィをかばったら、俺まで追放の流れとなってきたんだが……


「そもそも、ジーン、おめぇの魔法陣って他のパーティの法陣師より小さくてしょぼいだろ。この前、一緒に戦ったパーティは、でっかい魔法陣を作ってたぞ。部屋いっぱいの大きさのな」

「ふむ、ダイの言うとおりであるな。ジーンの魔法陣の大きさは、こぶし大の大きさの時もあるし、やはり他の人材と入れ替えるべきである」

「ちょっとまってくれ、俺の魔法陣は……」

「口答えするな!無能なくせに!」


ドン! とルーアが激高して、テーブルをたたく。無能無能と言われて、さすがの俺もいらっとしてきたぞ。


「……ペルシィもそうだが、俺も追放するってことか?」

「ああ、お前たち二人は、「できない奴らだ」からな。優秀な俺達と、一緒にこれまで活動してこれたことを感謝するんだな!」

「そうかよ。わかった。俺たちはパーティを抜ける………それでいいか?」


無言で座っている、盗賊の少女ペルシィに視線を向けると、無言でコクコクと頷く。


「それじゃあ、無能な二人を追放したことを祝して、カンパーイ!!」

「乾杯である!」

「はっはっはー! 今日は飲むぞー!」

「みなさん、はしゃぎすぎですよ」


席を立って踵を返した、俺とペルシィをバカ騒ぎで送り出す、元パーティの面々。

周囲からは哀れみの視線や、小ばかにしたような視線などが送られてくる。

そんな中、俺たちは、その場をあとにしたのであった。

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