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留守番電話、、、

作者: 黒瀬伊織

「まじ頭痛ぇ……」


 昨日は成人式だった。

 最初は面倒で行こうかすら迷ったが、蓋を開けてみればなんのその。

 小中学時代の同級生との久し振りの会合。

 成人式後の同窓会。

 昔話を肴に普段あまり飲まない酒が止まらない。


 何杯飲んだんだ。ビールにハイボール、焼酎に、確かテキーラショットでいってたな……。

 人生初の二日酔い。めちゃくちゃ気持ち悪い。

 トイレに駆け込み、全てを戻した。

 昨日から着たままのヨレヨレの袴を脱ぎ、風呂に入った。


「気持ちいい……」


 これまで風呂が天国だと感じたのは初めてだ。


 風呂から出て適当なジャージに着替えた。

 もう一度寝るか、、、

 気持ち悪さはだいぶ無くなったが、頭痛は相変わらず。

 三日酔いくらいしそうだ。


 ベットに入り俺はスマホを手に取った。

 記憶にないラインがズラッと並んでいた。

 後で返そうとスマホを閉じかけたが珍しく電話マークにバッチがついているのに気づく。

 留守番電話だった。


「〇〇くん成人おめでとう!!…………」


「え……」


 透き通った溌剌とした声。

 それはかつて、中学時代の同級生、亡くなったはずの彼女のものに間違いなかった。


 彼女は生きていたら昨日話していただろう思い出話を語り始めた。

 一緒に映画館に行ったね。

 一緒に水族館に行ったね。

 一緒にディズニーにも行ったね。


 思い出が蘇る。

 気がつくと涙が頬を伝っていた。






 そして留守電の最後に彼女はこう言った。


「やっと一緒になれたね」と。


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