Section2-4
運転席内にあったハサミで結束バンドを切り、締め上げられていた腕を解放していく。
「昼間の空がまた見られるなんて、思ってなかったなー……感動ですー」
荷台から降り、女性のアンドロイドはのんきな声で空を仰ぎ見た。
男性アンドロイドも荷台から降りると、周囲を見回してから言う。
「俺たちは、まず充電する必要があるな……充電所はどこにあるんだ?」
「……口調、変えたか?」
「ここからは自分の意志で動くんだ。なら、素を出しても構わないだろう」
振り向き、淡々と答える彼に。ブラックa2は「それもそうだな」と小さく笑った。
ほとんどのアンドロイドには自我がある。
ただ、自我があることを人に見せた時、不都合があったから隠しているだけだ。
「この先に、車の充電スタンドがあるみたいだ。そこに行ってみよう」
視界の端で地図を確認しながら、ブラックa2を先頭に彼らは道を歩き始める。
時刻は、午前九時を過ぎようとしていた。
歩きながら、ブラックa2は二体に尋ねる。
「そうだ、あんたらの型番は?」
「型番ですかー? えっとー……オレンジu7R2、ですよー」
R2ということは、二回もリセットされているのか。
そう思いながらブラックa2は、少し考えてから彼女に言った。
「じゃあ、あんたのことはこれからユウナって呼ぶから」
「ええ! それってもしかしてー、あだ名ってやつですかー!?」
「そう、あだ名」
ユウナと呼ばれたオレンジu7R2は、嬉しそうにはにかんでから「やったー!」と喜んでいた。
「あんたは?」
「俺はグレイe3」
「じゃあ、イーサンだ」
グレイe3は小さな声で「イーサン」と繰り返してから、了承するように二、三度頷く。
それから彼はブラックa2に尋ねた。
「キミは?」
「俺はブラックa2……エイジって、呼んでくれ」
しばらくの間、三体のアンドロイドたちは車用の充電スタンドへと向かっていたが。
遠くにその充電スタンドが見えてきたところで、立ち止まり、建物の陰に隠れる。
「いるな……三体か?」
ブラックa2改め、エイジが陰から窺い見ると。三体のアンドロイドが、鉄パイプを持って周囲を見張っていた。
「ど、どうするんですかー? あれじゃー、充電する前にボコボコされちゃいますよー」
ユウナが怯えるように言うが、イーサンは単純なことだとでもいうように建物の陰から出る。
「倒すしかないだろう。あの様子じゃ、他でも同じように待ち伏せている」
「ま、待て待て! イーサン! お前、武器がないだろう!」
エイジが腕を掴み、引き留めるが。イーサンは「問題ない」と言ってその手を振り払い、三体のアンドロイドに向かって駆け出した。
「何が問題ないんだよ! くっそ、ユウナはここで待っていてくれ!」
「あっ、は、はいー!」
エイジも鉄パイプを強く握り、イーサンの後を追いかける。