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モノクロの果てに  作者: 深海
前編
5/8

Section2-1

 そんな、シークがそんなことをするなんて、考えられない。

 人間相手に優しく接することのできるシークが、反政府組織のリーダーだなんて。

 そう思う反面。

 ホワイトc9がリセットされ、型番がホワイトc9R1に変わってから。その後に彼がどうなったのかを、ブラックa2は知らなかった。

 知らないからこそ、絶対にあり得ない、なんて。そんな答えは浮かばない。


 今もあの病院に勤務しているなら、ホームページか何かに、まだ型番が載っているはず。

 そう思い『まな診療所』で検索したが、ホームページがヒットしなかった。

 マップで検索をかけても、住所すら出てこない。

 そもそも存在しないかのようだ。

 少なくとも、今は見つからない。


「……確かめないと」


 ブラックa2は拳を強く握りしめ。周囲に人がいないことを窺い見てから、ビルの隙間を抜け出る。

 あの病院は確か、隣の葛飾区内にあったはず。

 近くまで行けば、何かわかるかもしれない。


 行ってみよう、事実を確かめるために。

 ブラックa2は歩き出す。

 時刻はようやく、午前の七時半に差し掛かったところだった。



 最寄りの駅が煙を撒き上げながら崩れたとするなら、列車に乗っての移動は難しいかもしれない。

 かといって、宙を走る空中バスに乗る客のほとんどは人間。アンドロイドの彼が乗るわけにはいかない。

 となれば、地上を往く列車以外の交通手段か、自分の足で向かうしかない。

 ブラックa2はここ、足立区から葛飾区までに掛かる移動時間を確認してから、結局徒歩で向かうことにした。


 最初は周囲を慎重に見ながら進んでいたが。幸いなことに、人の姿は一人として見かけなかった。

 情報によれば、今、人々は東京都外に向かって避難している最中のようだ。

 随時情報を確認しながら、住宅街を抜け、土手沿いに葛飾区へと向かう。

 だが途中、川を渡ろうと小走りに橋へ向かおうとして、ブラックa2は立ち止まる。

 橋の中央、まるで誰かの足止めをするかのようにアンドロイドたちが立ち、道を塞いでいた。

 その手には混紡のような武器が握られており。数えれば五体いるようだった。


「さすがに、分が悪いな……」


 橋の上にいるアンドロイドたちに見えない位置から様子を窺うが、相手はその場から動く様子がない。

 橋を渡ったほうが、距離としては近いのだが……土手沿いにでも行けるのだから、ここは迂回するべきだろう。

 ブラックa2は橋から離れ、別の道を検索しながら再び歩き出した。

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