番外編1 ケイラス
俺の名前はケイラス、エモトァス家の長男だ。
俺には弟が2人と妹が1人いる。
俺は父に憧れて剣技を磨いている。
普段は学園にいて1番下の弟に会えないが、夏休みで先日家に帰ってきた。
弟の可愛さは天使の如く、魔法も出来て頭もいい。
それにサヴィアから聞いたが、俺のことを尊敬しているらしい。
本当はラファエルとたくさん話をしたいが、威厳を保つために思うように喋れていない。
今日は家庭教師と一緒に街に行くのだと。
俺に言ってくれれば連れて行くのに!
取り敢えずバレないように変装して後をついて行く事にした。
「市場か」
はじめての市場に興奮するラファエルが可愛い。
暫く色々お店を見て何も買わずに市場を出た。
「次は鍛冶屋か」
ラファエルは武器よりも店主の方が気になっているようだ。
「ドワーフが珍しいのかな」
静かに眺めているとラファエルが店主の腕を触り出した!
「う、羨ましいぞ…!」
俺だってあんなにラファエルと触れ合ったことないのに!!
武器について色々店主に聞いているようだ。
暫くするとお店を出た。
何やら家庭教師が戸惑っている。
「次はどこへ行くんだ?」
家庭教師の戸惑いが気になり、不安になった。
ついて行くとそこは冒険者ギルドだった。
「あー、それで戸惑ったのか。」
ラファエル達が入るのを見てからこっそり中へ入った。
何やら見知らぬ男に絡まれている様子。
「ここは遊び場じゃねぇ!」
くそ!俺の可愛いラファエルになんて事を!
この場で処刑してやる!
剣を握り動こうとすると家庭教師が笑った。
「そうですねぇ、不敬罪に当たるかも知れませんねぇ」
男と周りの人が慌て出した。
もう暫く様子を見よう。
すると、ラファエルがまたもや男の筋肉を触って「かっこいいですね」なんて褒めていた。
くそぉ!俺だってラファエルに「かっこいいですね」なんて言われた事ないのに!!
あいつやはりここで殺すか…
今度はギルドマスターが出てきた。
「む、ここで問題を起こすのはまずいか…」
深呼吸をする。
「グラットさん、めちゃくちゃかっこいいですね…男の中の男って感じで憧れちゃいます…」
ぐああああ!!!
なぜこうも俺の心を乱すのだ!
もう今日は帰ろう…
俺の気が持ちそうにない…
「俺もラファエルにカッコいいって言われる兄貴になろう…」
そう小さく心に誓うケイラスであった。