第46話 家族会議
事の発端は、父ユリウスが何気なく三男ラファエルに問いかけた話だった。
「そう言えばラファエルはたった4年で、上級学園の冒険者クラスに入ったが、付いていけてるのか?」
「うん!パーティメンバーの人達も皆いい人達だよ!」
「そうか、なんでもクラスでお前のパーティが1番だそうじゃないか。」
父親が褒める。
「所で、ラファエルのステータスは今どんな感じなんだ?さぞかし凄いのではないか?」
ドキッ
いつか聞かれるとは思っていたが、このステータスを見て「バケモノ」と思われないだろうか。
「え、見せるの…?」
「なんだ?そんなに活躍していて、見せられないステータスでもないだろう?」
父親は首を傾げる。
「えっと、見てもビックリしない?」
「ほう、そこまで言うとはなかなかの自信だな。」
父親がニヤリと笑った。
「取り敢えずこのカードに血を1滴垂らしてみろ」
父親が一枚のカードを投げ渡した。
「いてっ…」
針で指を刺してカードに1滴血を垂らすと、たちまちカードに自身のステータスが現れた。
カードを見ると、基本的なステータスは書かれているが、使える魔法や技能の記載は無かった。
これなら見られても大丈夫だろう。
「はい」
父親にカードを渡した。
「これは…!」
父親が目を見開くと、メイドに家族を集めるように指示した。
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「では、家族会議を始めるとする。」
一体なんの会議だろうと、長男、次男、長女、母親が困惑した。
「会議とは一体何の…?」
長男が問う。
「この家の後継についてだ。」
真剣な父親の表情に、一同が困惑した。
何故なら、普通長男であるケイラスが継ぐ筈であり、ケイラスも非常に優秀且つ問題など起こした事もない。
それなのに後継について会議すると言う事は、ケイラスが後継ではなくなると言う事を皆が理解したからである。
「父上、それは一体…」
ケイラスが大きく動揺している
「まぁ、まだ決まったわけではないから一旦落ち着きなさい。今日は皆の意見を聞く為に呼んだまでだ。」
父親がケイラスを宥める。
「皆はラファエルが我が家でも非常に優秀なのは、周知していると思うが、先程ラファエルのステータスを見せてもらった。」
ステータスカードをスッと取り出した。
「これを見て、お前達はどう思う?」
長男にカードを投げ渡した。
「こ、これは…!!」
長男が、カードを見て言葉が詰まった。
次男と長女と母親も驚いている。
「そうだ、正直私は10歳にしてこのステータスを持ったものを見たことが無い。その為、ラファエルを我が家の後継にしようと考えている。」
「…」
皆が黙り込んだ。
「ふっ…」
長男は緊張の糸がほぐれたかのように笑みを浮かべた。
「父上、僕も賛…」
「ちょっと待って!!」
僕は長男の言葉を遮った。
「僕は一言も後継になりたいなどと言った覚えはありません!」
思えば生まれて初めて父親に抗議をした気がした。
「しかし…」
「僕はケイラス兄さんが家を継ぐべきだと思っています!」
父親の言葉を遮りながら続けた。
「そもそも僕が何で冒険者クラスに入ったとお思いですか!冒険がしたいからです!家を継いだら冒険ができなくなります!なので、私は家を継ぐ事はできません!」
家族全員がキョトンとしている。
「それに!僕は政略結婚もしたく無いですし、貴族のめんどくさい付き合いもしたく有りません!」
取り敢えず思いつく限りの理由を並べてみた。
「ぷっ…そうかそうか」
父親が笑い出した。
「と言う事で、やはり後継は長男にするが、異論はあるか?」
「ないです!!」
父親の問いに大きな声で答えた。
「では、家族会議終了だ。」
長男は何やらスッキリしない顔をしていた。




