第4話 悪戯魔王
さて、ここで問題だ。
昨日図書室で魔法の本を読んだのはいいけど、ヒールは怪我をしていないと発動しない。
そう都合良くたくさん怪我人がいるわけでもないしどうしたものか。
え?自分指を切ってヒールをかければいいじゃないかって?
いやいや、僕は痛いの嫌いなんだよね
よく飛び降り自殺なんかできたと思うよ我ながら。
「あ!」
とんでもない作戦を閃いた。
廊下に出て人を探す。
因みにこの家には父と母、兄が2人と姉が1人いる。
そしてメイドや執事などがたくさんいる。
昨日食事の時に兄弟に鑑定を使ったところ
長男は10歳、次男が6歳、長女が4歳だった。
そして名前は長男がケイラス、次男はサヴィア、長女はマレッサだった。
スキルはと言うと、
長男は剣技10Lvとヒール4Lv
次男はライト5Lvと剣技2Lvとヒール2Lv
長女はライト4Lvとヒール1Lv
と言うスキル構成をしていた。
このまま成長すれば、長男は聖騎士、次男は魔法剣士、長女は魔法使いか聖者にでもなるのかもしれないな。
と、そんなことを考えていると次男が歩いてきた。
(ディバインパニッシュメント!)
「おっとっと!」
何もないところで次男が転びそうになった。
なんでこんな事をしているかと言うと、まずディバインパニッシュメントで誰かを転ばせる。
膝をすりむいたところにヒールをかける。
そうすればディバインパニッシュメントもヒールも同時にレベル上げができて一石二鳥!
そんな感じでいろんな人にディバインパニッシュメントを使ってみる。
そろそろ僕の方がバチが当たりそうだな…
流石に家の人にばかりやってると怪しまれそうなので、外の鳥や小動物にも使ってみる。
「ちょっとこけたりするぐらいだから大丈夫だよね…?」
3日くらいするとディバインパニッシュメントが3Lvになっていた。
次男に使うと何もない所につまづいて転んだ!
「いった!」
「大丈夫?!」
すかさず次男のもとへ駆け寄る。
「大丈夫だよ、これくらい」
次男は苦笑いした。
「なおしてあげる!」
「え?」
「ヒール!」
ふぁあっと手から出た光が次男の膝を覆った。
「もういたくない?」
「え、、、うん…大丈夫だよ…」
次男が呆気に取られている。
「どうしたの?」
「な、なんでもないよ!じ、じゃあもう行くね!」
次男はそう言うと駆け足で去って行ってしまった。
何かやらかしたのかな?
ふと不安になる。
ーーーーーその夜ーーーーー
「ぼっちゃん、夕食ができたのでご飯にしますよ」
「はーい」
メイドと一緒にダイニングへと向かった。
「いただきまーす!」
何やら今日のご飯はいつもより僕の大好物が多いなぁ
そんな事を思いながら料理を眺めていると父が口を開いた。
「ラファエル、お前ヒールが使えるそうだな」
「「「え!!!」」」
家族や側にいたメイド達が驚いた表情でこちらを見る。
「え?」
鑑定で見たけど、うちの家族はみんな使えるんじゃないの?
みんなが何に驚いているのか理解できなかったので戸惑っていると
「ラファエルってもしかして天才?!」
長女が口を開いた。
え?どう言うこと?
一応聞いてみよう。
「みんなもヒールできるでしょ?」
「できるけど、あたしはつい最近できるようになったのよ!」
「僕も大体それくらいかな。」
「俺も4〜5歳くらいの時だったと思う。」
どうやら上の兄弟達はヒールが使えるようになったのは4歳ぐらいからとの事らしい。
そう言う話なら1歳で使えたら、まぁそりゃ騒ぐか。
と、納得していると
「ねぇねぇ、もしかして他にも魔法使えるの?」
目をキラキラさせながら長女が聞いてきた。
「えーと、ライトもつかえるよ」
散々ディバインパニッシュメントで悪戯してきたのでこれは黙っておこう。
「まぁ、お母さんも鼻が高いわ」
「と言うわけで今日はラファエルが魔法使えるようになった記念だ。ラファエルの好きな物をたくさん作ってもらったからたくさん食べなさい。」
あ、そう言う事だったのね。
なら、遠慮なくたくさん食べるぞ!
「いただきまーす!」