番外編4 家庭教師
私はメラウ。
エモトァス家のご子息に仕えている家庭教師。
今回は三男のラファエル様に勉強を教えに行くのだけれど、ユリウス様曰く
「まだ5歳だが、既に算数も読み書きもできるので、歴史や家系等を教えてやって欲しい」
との事。
それが本当ならラファエル様は4兄弟の中で1番賢いことになる。
凄い逸材になりそうね…。
「はじめまして、ラファエルです。」
「では、ラファエルをよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
へぇ、ラファエル様だけ目がピンク色…。
フラン様の加護かしら?
「ユリウス様、ラファエル様はもしかして…」
「そうだ、フラン様の加護を授かってるそうだ。」
珍しい。
神の加護は大変珍しいが、フラン様の加護はその中でもかなり希少だ。
これと言って強い能力は過去にも出ていないが、かなりレアな加護だ。
「さて、私も頑張りますか!」
授業の準備を始めた。
ーーーーー授業後ーーーーー
「あ、先生!明日の授業なんだけど、僕街に行って見たくて、連れてってもらえませんか?」
「うーん、そうですねぇ…」
大丈夫だとは思うけど、何が起きるかわからないし、ユリウス様に聞いてみた方が良さそうね。
「では、ユリウス様に聞いて見ますね!」
目を輝かせているラファエル。
まぁ、ずっと家の中じゃつまらないわよね。
コンコン
「失礼します。」
「ご苦労様。授業は大丈夫そうでしたか?」
「はい、ラファエル様はとても覚えが良くてきっと将来有望だと思います。」
「ははは、そうだろうな。」
「ところで、ラファエル様から明日は街に出てみたいとの要望があったのですが、私がお連れしても構わないでしょうか。」
「そうか、確かに今まで街に出した事なかったからな。良い機会だろう。では、明日よろしく頼むよ。」
思いの外アッサリと許可が取れてしまった。
なんか拍子抜けしちゃったなぁ。
でもラファエル様に万が一何かあったらダメだから明日は気を引き締めないと!
そう思い、屋敷を後にするのであった。
ーーーーー翌日ーーーーー
「この国は大陸一いろんな種族がいる国なんですよ〜。」
「へえ!どんな種族がいるの?」
あらあら、人間以外の生き物にも興味津々なのね。
「人間でしょ〜、ドワーフにエルフ、獣人なんかもいるわね!」
「ドワーフに獣人!!」
え、そこに食いつくの?
「変わってるのね…普通男の子って皆エルフとかに憧れるんじゃないの…?」
今までなら男の人は皆美人エルフに興味津々なんだけど…、ドワーフと獣人に目を輝かせてる男の子は初めて見たわ…。
「他の国はどうなの?」
「そうねぇ、例えばイエラーは人間主義だから殆ど亜人とかはいないわ。逆にマゼンディは亜人がかなり多いわね。」
まだ教えるには早いけど、奴隷もいたりするのよね〜。
「さて、どこから見たい?」
「んー、市場!」
「よし、じゃあ行って見よー!」
ーーーーーーーーーーーー
市場につくとラファエルは目を輝かせながらキョロキョロしている。
はじめて見るものがたくさんよね。
なんかさっきから視線が獣人やドワーフ、マッチョに行きがちなのは気のせいかしら。
ラファエルは食べ物や雑貨にも興味津々のようだ。
楽しそうで良かった。
「じゃあ、次はどこ行きたい?」
「武器屋とか鍛冶屋!」
「ふふ、やっぱり男の子ね」
そうよね、武器や防具は男の子のロマンよね。
「ここがこの街1番の鍛冶屋よ。」
「ねぇねぇ、あの人ってもしかして…」
「そうよ、あの人はドワーフよ」
無愛想で小汚くて少し怖いけど、腕は確かなのよね。
「なんだい?冷やかしか?」
「あ、すみません。ちょっとこの子が見学したいって言うので連れてきたんです!」
「似てないが、あんたの子か?」
「いえ、ユリウス様のご子息でして。」
「ほう、道理で綺麗な顔をしているわけだ。」
「おじさんの名前はなんて言うんですか?」
「ん?俺か?俺はタングってんだ。」
「凄い筋肉ですね!」
ん?筋肉?
「そうさ、これが無いと武器は打てねぇからな!」
「触ってもいいですか??」
「触りたいのか?」
え、この子は武器じゃなくて筋肉を見にきたの?
さっきから思った反応が違くてリアクションに困る。
暫くして武器や防具も一通り見た。
やっぱりなんだかんだ言って男の子ね。
「楽しかったですか?」
「うん!すっごく!」
ふふ、こうして見ると普通の可愛い男の子よね〜。
「では次どこに行きましょうか。」
後は教会とかかしらね。
「冒険者ギルド!!」
「え、冒険者ギルドですか…?」
「ん?どうしたの?」
ラファエルくんくらいなら将来冒険者ギルドなんてあまり関わらなくても生きていけそうだけど。
てか、冒険者皆顔怖いから行きたくねぇ…!
「いえ、普通冒険者ギルドと言えばガラが悪い人が多く、高貴な方はあまり行きたがらないのですが…」
「えー、でも行きたーい!」
うっ、この目を見ると何故か逆らえないんだよなぁ…。
「わ、わかりました。では行きましょう。」
ガチャ
「し、失礼しまーす。」
ザワザワ…
「子連れ?」
「誰だ?」
うぅ、やっぱり皆睨んでくる…。
「こんにちは、本日はどのようなご用件でしょうか。」
「すみません、ちょっとこの子がギルドを見学したいと言うので見学しにきました。」
パパッと見てササッと帰ろう。
「お嬢ちゃん、悪いこと言わねーからさっさとそのガキ連れて帰りな。ここは遊び場じゃねぇ。」
ひっ!
後ろから1人の強面の男性が話しかけてきた。
「あ、はい…」
もう分かってるわよー!
あたしだって遊びじゃないのよ〜!
ラファエルが袖を引っ張る。
「ねぇ、メラウ。これって不敬罪になる?」
「え、、」
そうよね、ラファエル様に向かってガキとか言っちゃって、偉そうな態度して、これって不敬罪にあたるわよね?
「そうですねぇ、不敬罪に当たるかもしれませんねぇ…」
勝ったな。
「不敬罪?あの、そのお子さんは?」
ふふ、よくぞ聞いた。
「この子、ユリウス様のご子息でして」
虎の威を借るとはまさにこの事ね!
「ゆ、ユリウス様のご子息だって?!」
ふふふ、さぁひれ伏せひれ伏せ!
崇めよ讃えよ奉れ!
「と言うわけでどうしましょうか?ラファエル様」
「さ、先程の無礼失礼しました。」
男が謝る。
は?
思いの外呆気なく男が引いたので拍子が抜けてしまった。
「いえいえ…そうだ、お兄さん筋肉すごいので筋肉触って見てもいいですか??」
は?
いやいや、あんた何を言っとるんだ。
こやつはさっきお主にガキは帰れって言ってたやつだぞ?
つか、筋肉なんてどうでも良いだろ。
「あ、あぁ。いいぜ」
いや、いいんかい。
もう何を突っ込めばいいのかわからなくて頭を抱える
「すごい!カッコいいですね!」
「そ、そうか…?」
わからん、あたしにはわからん。
あれはお世辞よね?
悪いけどあたしゃこの男の良さが全くわからん。
「なんだ、騒がしいな?どうした?」
「あ!ギルドマスター!」
奥の部屋からギルドマスターが出てきた。
「実はユリウス様のご子息のラファエル様が見学しにきていて…」
「ほう!ユリウス様のご子息が!」
「はじめまして、ラファエルと申します。」
「はじめまして、私はギルドマスターのグラットです。」
「グラットさん、めちゃくちゃかっこいいですね…男の中の男って感じで憧れちゃいます…」
「え」
「はっはっは!そんなこと言われたのは初めてだよ」
いや、こんなむさ苦しいオヤジのどこがいいのよ…。
そりゃお世辞でもかっこいいなんて言わないわよ。
「ラファエル様の趣味って変わってますね…」
受付のお姉さんがボソリと呟く。
わかるわ、わかるわよその気持ち…。
受付のお姉さんとアイコンタクトを取り、お互いに共感していた。
「あ、もうこんな時間!ラファエル様、今日はもう帰りますよ」
「はーい」
満足そうにラファエルが答えるとギルドを後にした。




