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聖女の出現 【ウィリアム視点】



「何故、どうして、君は……どこに行ってしまったんだ…」

「もう、諦めた方がよろしいのでは……」




彼女、エラが姿を見せなくなって、

一年と三ヶ月──。



一度愛してしまった心は、そう簡単には変えられない。

諦めの悪い私の友、私達の王子。


これは執着というのか、それとも真実の愛なのか。



日々、何かが足りない部分を誤魔化すように、エリーは業務を押し込み、文献を漁り、何か手がかりはないかと、彼女の姿を探す。




そんな時だった──。


聖女が現れたと、報告があった。


王子であるエリックは政務で国を出ていたので、側近である私がまず話を聞いた。




「で? どこの誰なんです?」

「はい、レイ男爵家の養子であるカーラと言う名の少女です。」

「カーラ……」



残念だが〈エラ〉ではなかった。

しかし、まだ分からない。

この一年の間に、何か変化が起こっても不思議ではない。



「歳は17、元々平民で一年程前、レイ男爵に気に入られて養子として迎え入れたそうです。」

「一年前……? しかも、17歳……」



『もしかしたら…』と期待した。

物語の中だけの真実の愛は、こうして出来上がるのかと…。


だが、期待のし過ぎは良くない。

現実はそう甘くない。



「容姿は、どんな方ですか」

「いえ、それが、王子が迎えに来ないと家から出さぬと仰っていて……。」

「ふん、生意気だな。 婚約出来るからとつけ上がっているのか。」

「はい…、恐らく……。 親子の関係も築けぬまま大事な娘をやるのだから、それなりの物がないと渡さないと……」



聖女が使える魔法はとても貴重だった。

致命傷でもない限り、どんな傷でもすぐに治し、病に悩まされる事なく人生を送れる。

戦争でも負傷者が出ないので、聖女が居ればどの国とも暫く和平が結べる。



「面倒だな……。 そもそも本当に聖女なのか?」

「はい、目隠しでしたが、負傷した騎士の傷が跡形もなく……、私の知り合いですので間違いないかと。」

「はぁ……、そうか…」



だから、聖女が現れた際、逃さないようにと王家の誰かが、結婚する決まりだ。

勿論、今の王家にはピッタリの人物が一人だけ。

エリーが婚約しなければならない。


よっぽどの事がない限り、婚約してから一年後には、正式な妻となる。



まだ、分からない。

その〈カーラ〉と言う人物が、逢瀬を重ねていた〈エラ〉なのか……。




「殿下が帰ってくるまで、待つしかないか…。」






遅くなりました

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