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リボン【ウィリアム視点】



「驚いたことに、何が欲しいと言ったと思う?」

「さぁ?」



先日あったことを早速、側近のウィリアムに話す、王子エリック。



ウィリアムは、毎度楽しそうに嬉しそうに、エラとの出来事を話すエリックが、微笑ましかった。

この純粋な恋が、確りと愛に変わり、ふたり幸せになって欲しいと、幼なじみとして、そう願っていた。


色々なしがらみは、全て一旦横に置いて、の話だが・・・。



「リボンだと言うんだ! リボンだぞ? シンプルな、ただのリボン!」

「リボンとは、また、欲がないですねぇ」

「だろう? しかも"お金なら沢山持ってる"と言った後で欲しいと言ったのがそれだ」

「・・・・・いや、そもそも、そんな事言ったのですか…」



そりゃあ金なら沢山ありますよ。

貴方王子ですものね。

と言う嫌味は、今は言わないでおく。



「・・・・・、ウィルの言った通り、もしかしたら本性を隠しているかもしれないと思って…、」

「試したのですか」

「・・・言い方が悪い!…が、そうなる…。」

「結果、貴方がより夢中になったと。」

「・・・・・・まぁ…」



ゴニョゴニョと口を濁す王子、…可愛いな。と「ふふ」と聞こえないように笑う。



「本当はもっと、家が欲しいとか、そんな事を言われるのかと思った。 だがリボンだと言うから、何故かと考えたんだ。」

「ほう?」

「"長い髪を纏めるリボン"、と…。 貴族の女はその長い髪が自慢の一部だったから、私は考えもしなかったが、普通に生活していく平民にとっては邪魔なんだなと。 けれど、エラは簡単に髪も切れない。貧しい所の子だろうから、髪を切れるハサミも恐らく無いんだ・・・、切り揃えているようにも見えないしな・・・」

「成る程。 きっと、貴方は良い王になれますよ…」

「何でそうなるんだよ…!」



ちゃんと平民の生活まで想像出来るのですから。

優しい人ですよ、本当に。




さて、このところ、エリックの周りを嗅ぎ回っている奴が居ると言うことを、エリー自身に言うべきか。


最初は暗殺か、政治的スパイなのかと思い、私自身も非常に警戒した。

だが、調べる内におかしな点に気付く。

そこからは早かった。


あぁ、お父様である国王の使いだと。


通りで最近、国王様は「早く婚約者を探せ!」だの「孫の顔は見せろよ!」等と言わなくなったのか。

正直、それについてはエリーも気付いている。

けれど、エリーの行動、ひとつひとつが監視されていることには気が付いていないようだ。


それもそうか。

これだけ浮かれていたら、気付くものも気付かなくなる。



「それで、その、エラへ贈るリボンなんだが・・・」

「はい?」



またゴニョゴニョと口を濁すので「何ですか、はっきりと仰って下さい」と言うと、顔を赤らめるエリー。


・・・どこまで純粋な恋なんですか…。



「贈るリボンを、青に染めようと思うんだ・・・」

「青って、・・・まさか」

「リボンの端は紫にグラデーションになるように・・・」

「はぁ…、本っ当に、エリーってば、どれだけ夢中なんですか。あまり盲目になりすぎる程、のめり込まないようにして下さいね」



この『青に染めたい』と言うのも、前回同様、王族だけが許される特別な青い染色だ。



「ダメか?」



そう、子犬みたいに聞かないで下さい。



「ダメも何も・・・、前回も贈ってますし、今更って感じですね。 それに、私には貴方の気持ちまで止める事は出来ませんよ」

「・・・そうなのか…?」

「良いんじゃないですか? エリーが贈りたいと思うなら、それで。」

「よし!じゃあ決まりだ…!」




ニコニコと上機嫌なエリックを見て、ウィリアムは「監視されてます」と報告するのを止めた。



全く、こんなに純粋な気持ちで動いているのですから、国王も、父親として、しっかり見てあげてください。


良いじゃないですか。

シンデレラストーリー。

確かあの方もエラと言う名前だった。



最後は、どうか、ハッピーエンドで・・・。



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