ありふれた出来事
初投稿
これから僕が話していくことは僕が15回目の夏を迎える頃に起きたことだ。例えばUFOが空から降ってくるような。例えばこの世では絶対起こりえるはずのないことが起こってしまうような。そんな不思議な体験だ。
chapter1
「僕はあと何年、夏を迎えることが出来るんだろう」
1人、病室で呟いてみるがもちろん返事など返ってくるはずもない。まぁ普通に考えたらこんな何も無い病室で独り言を呟く僕もどうかと思うが
「はぁ」
思わず溜息が出てしまう。僕の今後のことや両親の事とか、その他もろもろ。そりゃあこんなチューブに繋がれた状態で寝たきりなのだから無意識のうちに暗いことを考えてしまうのも無理ないだろう……
それにしても暇だ。というか本当にここが病室なのかと思ってしまうレベルでこの空間には何も無い。ある物といえば今僕が寝ているベッドに小さめの冷蔵庫、そしてテレビくらいだ。テレビがあるなら暇つぶしにでもなるんじゃないかと思ってる人がいるかもしれないが、何せ今は平日の昼間な訳であってこの時間帯にやっているテレビは中学三年生の僕にとっては、さらに退屈を催すだけであった。
「寝るか」
もう、この独り言も癖のような物で、少しでも喋っていないと日本語を忘れてしまいそうになる。こんな言い訳じみた事を思いつつ僕の意識はどんどん薄くなっていき、やがて僕の意識は霧のように消えていった。
さて、とても短くて読みやすい前置きはこのくらいにしといてそろそろ本題に入っていこう。
まぁこんなありふれたようなことを言うのは正直気が引けるし、言わなくていいことだったら僕だって言いたくない。しかし実際僕の身に起きた事はそういうフィクションの世界でよくあるような事だった。
そう。僕は目が覚めたら見たこともない空間にいた。
例えるならばそこは闇の世界。光など微塵も存在しないような一面の黒。しかし何故かは分からないが僕の目ははっきりとそこにいる「何か」を見ることができた。
「こんにちは、夜凪コウくん」
そこにいる「何か」は僕に向かってはっきりと言った。
「今から君にはチャンスをあげるよ」
チャンス?
「そうチャンスだ。最初は戸惑うかもしれない、だけれど君なら必ずそのチャンスを掴み取る事が出来る。私はそう感じる」
ボヤけた意識の中で「何か」はそう言った。
「それじゃぁ頑張ってね。夜 凪 く ん」
「何か」が言葉を発し終わったと同時に、僕の意識はその暗闇の世界から遠のいていった
「はっ!」
目が覚めると僕は尋常じゃない程の汗をかいていた。
「はぁっはぁ」
取り敢えず深呼吸をして心を落ち着かせる。こういう時は何だっけ……そうだ素数を数えるんだ。
僕がネットの世界で手に入れた落ち着く方法を試す前に僕は気付いてしまった。
「嘘だろ」
思わず声を出してしまう程の衝撃だった。起きた時から少し違和感は感じていた。
何がそれ程の衝撃なのか……一言で言ってしまおう。
僕の隣でとても可愛らしい女の子が寝息を立てていた。
これがこの物語の始まり。言うならば少し長いあらすじのような物だ。これから「僕達」は長い長い旅を続ける事になる。決して楽とは言えない、だけれど僕の人生を大きく変えてしまう。そんな夜凪コウ、15歳の僕の物語だ。
暇な時に書きます!
読んでくれた方ありがとう!