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干支暦和は平凡な毎日と共にありたい。  作者: 朝水林次郎
衝撃のラストでも平凡な毎日と共にありたい
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共に生きたい平凡な毎日

ピンポーン

あれ、来客かな?今日実は営業日じゃないんだけどな。まあでもせっかく来てもらったのに断るのは申し訳ないか。ただでさえ小遣い稼ぎしかできていないようなこの相談所だ。そんな相談所が客と日にちは選んじゃダメだよな。さあ、今日はどんな相談かな。俺にできるものだといいんだけど。この時間なら学生の可能性もあるな。あ、1月だと中学生は高校入試の時期だな。任せとけ、一応これでも学生だし。高校受験は経験済みだ。敬虔な過去問教な俺だけど、その辺の疑問を解決できるだけの知識は持ち合わせているぜ。じゃ、扉けるよ。誰かな?

「はーい。」

新しく始まる普通の日々の扉を開ける。

「こんにちは、よみかず君。」

ニコッと笑う彼女の顔は、小悪魔的にあざとく、天使のように癒され、聖母のように心が洗われる。

この笑顔。この艶のある髪の毛。触らずともわかるもちもちとした肌。健康的な肌色。未来を見据えた真っ直ぐな瞳。小鳥のさえずりのような心地よい声。寒いせいか少し赤くなっている鼻や耳。厚いコートに負けない胸。かじかんだ指先。美しい脚。そのすべてが、忘れられるはずのない、その人の装いだ。

「や、弥生さん?でも、どうして?」

「やだなあ、どんな顔してるのよ。ふふっ卯生の言ったとおりだね。」

この再会に涙は欠かせなかった。どんな再会も感動的なものだと思う瞬間だった。

「さっきに言っておくけど私死んでないからね。」

「え、だって、そんな、ええ?」

「すごい動揺の仕方。ここまでしてくれると嬉しいな。ふふっ。じゃあ、妹もいるから3人で話しましょう。」

手招きをして呼んだ先にはさっきまでいた卯生ちゃんだった。

なかなか正気を取り戻せなかった。何だこの壮大なドッキリは。

3時間後。

「説明するとだね。まず、礼奈ちゃんからその河内冴姫っていう話を聞いた私は、お姉ちゃんとまつりさんに同じ話をしたの。そしたらみんな会ってみたいねって話になったわけ。そしたら、同タイミングでよみかず君が来るって知って、じゃあ実験台に使用しよう!てことに。」

「ごめんね、私は反対したんだけど卯生ちゃんがどうしてもって。」

「だってこれが本当なら本にできるじゃん!」

「なるほど。」

「お、ようやっと受け入れてくれましたか。」

「うん、まあ。」

「じゃあ、これからどうしましょうか。3人で暮らしますか。」

「あれ、さつきちゃんは?」

「さつきちゃん?多分でっち上げじゃないですか?」

「そうか。」

「お義兄ちゃん!人生って言うのは気付いたらうまくいってるものなんだよ。過去を顧みるのも、無駄なくらい、未来を考えるのも無駄なんだよ。」

「アニメ化ラノベ作家は言うことが違うな。」

河内冴姫。

夢を見させる死神。死んだ夢を見せる神。来るはずのない未来を見せる妖精。

どうやら彼女は、俺にこのダイナミックな1年は来ないということを教えてくれたようだ。ドラマチックな人生なんてなく、思い通りの世界ほど実は平凡だっていうことを逆説的に教えてくれたようだ。

まあ、正直なところ弥生さんが生きていれば他に欲しているものはないんだけどな。

強いて言うなら、これはあながち間違っていない願望になってしまうが、そうだな。

やはり俺は、平凡な毎日と弥生さんと卯生ちゃんと共にありたい。


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