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部活の話

んじゃ、肝心の部活について話そうか。


私がバレーを始めたのは、以外と単純。従兄がバレーをしてたからだ。それが格好良く見えたからね。"ゆずもそれやる!!"で始まったのだ。

勿論、従兄が連れてきた幼馴染みにも、始めてから色々仕込まれたりしているけど。(因みに、勇輝(ゆーき)従兄(にい)は、U18に選ばれた選手から、「うちに来い」って誘われてたけど、そいつが大嫌いだからという理由で、蹴ってたりする。浩兄(ひろにい)が、苦笑しながら話してくれたけど)

更には、勇輝(ゆーき)従兄(にい)がセッターだったので、私はそれに影響を受けたわけだ。+イタズラ好きならこれでしょ、と勇輝従兄に薦められたのもある。

そっからは、三人集まればバレーをして遊んでた。テレビでやってた、なんて言って、出来もしない技、試して怪我するようなお転婆だったし。

小学校でもバレーをしてて、大会でベストセッター賞を貰ったりもした。



で、この学校に入って、一年の6月のコト。

三年のセッターが膝を壊した。とは言え、そこまで重症ではなかったけど、どうせ受験のために辞めることにはなる(うちは、大会終了=受験に切り替えである)ので、高校に入って直ぐにバレーをしたいから、と彼女は治療に専念するために、部活を辞めてしまった。(ただし、試合の応援には来てくれてたけど)

治療を今からしっかりすれば、またバレーをできるようになれる、と担当医にも言われたんだってさ。


それで、先輩の代理をどうするかで結構もめた。

で、紆余曲折の末、コーチと監督の指名で、まさかの私に白羽の矢が立った。

『先輩差し置いてとか無理です』と色々ごねた。私の知る言葉を並べて断ったけど、ごり押しされてレギュラー入り。


だからこそ、相沢 陽菜乃先輩(当時2年のヒナ先輩)に、メッチャキレられた。私の方が長いのにって。

で、そのままヒナ先輩に嫌われたまま全中に突入。

私だって、たかが一年生とはいえ、指名されたのであれば、どんなに無茶をしでかしても、勝ち進みたいと思うのは至極当然の事でしょ?

先輩達に気付かれないように、少しずつ練習量を増やしていった。試合で負けるの嫌いだし、先輩の足を引っ張るわけにもいかないしね。


で、結局、コーチと先輩達にオーバーワークしないように管理されるハメになった。(結果的に、もともとのこなしてた練習の1.2倍位の量をしてたら、皆に口を揃えて「やりすぎ」って怒られた(・ω・`))


そんな私の練習量を見た先輩及び同級生達は、「そりゃこんだけすれば選ばれるか」と半分呆れながら、私のレギュラー入りに納得してくれた。


けれども、一年経ってもヒナ先輩は一向に口を利いてくれなかった。(去年はベスト16まで駒を進めたんだけどね)


で、そのまま二年生となり、新しくレギュラーを発表される。

まさか、ヒナ先輩がリベロになってくるなんて、誰が想像しただろうか。勿論、私だって、めちゃくちゃ驚いた。まあ、確かに彼女はレシーブうまかったんだけど、ポジションがセッターだったからね。

で、ヒナ先輩(主将にも任命されてた)は私(達なのかどうかは、めっちゃ指が私を向いてたからわかんない)に指差してこう言った。

「今年こそ、全中、優勝するわよ。去年一年でうちの弱点、よく分かったわ。

"繋ぐ"ことよ。

月並み、何て許さない。全力で、"テッペン"獲るわよ!!」

これによって、うちの部活はThe 体育会系の冠を戴くまでに練習量が増えた。

………いやぁ、休みなくバレー、バレー、バレー。流石にオーバーワークにならないようにはなってたけど、どんだけ絶妙にコントロールしてたんだか。


後日聞いた話だけど、ヒナ先輩は、私がセッターに選ばれてから、各試合(練習試合も大会も)の分析をし続けたんだって。

で、自分達の代に足りないものを分析した結果、上記の言葉に繋がったとか。


それで、セッターであったとはいえ、元々のレシーブ力を活かすために、コーチの知り合いにリベロのコツを習いに行ってたらしい。………その執着心がスゴいよね。


レギュラー発表の後、私はヒナ先輩に呼び出された。

「去年は悪かったわね。私としても、今は大人げなかったと思ってる。ごめん」

そう言ってヒナ先輩は私に頭を下げた。状況を把握するのに、三十秒はかかったと思う。

『え、いやいやいや!!

急にぽっと出の一年が出たら、そう思って当然ですよ!!』

私の言葉に、プッと吹き出したヒナ先輩は、どこか吹っ切れたようだった。

「何であんたが慌ててんのよ。

………ま、立花なら仕方ないか。あんたのプレースタイル、今高一の立花 勇輝選手みたいに、味方の全力を引き出すタイプだもんね。

私みたいに、ガンガンいこうとするタイプじゃないし」

そう言って、肩を竦めたヒナ先輩は私に拳を差し出した。

……………え?

「今年一年、あんたの力、優勝のためだけに使ってもらうわ。

私が全力で拾って、あんたが運ぶ。それだけでも、かなり変わるに決まってるもの。頼むわよ」

『はい!!』

私は、自分の拳をコツンと返事と共に当てた。


とまあ、こんな感じで和解して。今では頼り甲斐のある姉貴様である。

そんな努力虚しく、ベスト4まで上り詰めたんだけどね。さすがに強豪の壁は厚かった。


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