他愛もなくすすむ話
それから数日後。
私たちのメールはとどまることを知らなかった。
いや、寧ろ、互いの事を知らないからこそ他愛の無い話で盛り上がっているのかもしれない。
これでも、私は次期副キャプテン(+副部長)に任命されてしまってるから、正直、こういう四方山話の方が気が楽でいい。
まあ、専ら私から何か話題を振ってるんだけどね。ちゃんと答えてくれるし。
"じゃ、趣味は?"
"将棋とか、チェスを昼にやっていたりするな。まあ、休みには乗馬に行ったりもするが。
そういう君は?"
ボードゲームが趣味って…。どんだけ頭いいのさ。
まぁ確かに?オセロとか、最後にどんでん返しするのは楽しいけど、休みまで頭使いたくないなぁ。
セッターとして、ゲームメイクする時、皆の調子とか、相手の様子とか全部考慮に入れて頭フル回転だし。
あとさ、乗馬って、そんな頻繁にするものかな?まあ、司くんなら白馬とか似合いそうだけどね。(王子様か(笑 )
さて、私の趣味かぁ。無難なとこをだしとこ。
"専ら読書!
まぁ、ファンタジーとミステリーが多いけどね
あとは…音楽聞いたりとか?"
"意外、だな。恋愛小説ではないのか。
まあ、君のことだ。嵐だの、J-popばかりだろうが"
少女漫画だって読むのも幾つかあるけど!、そこまで恋に恋する乙女じゃないよっ!!
まあ、確かに、J-POPだって聞くし、ボカロだって聞くけど。司くん、馬鹿にしてるよね!?私そこまで酷くないっ!
"ちょっと!!
私、そこまで脳内ドピンクじゃないもん!!
これでも文武両道の学校のトップの一人だよ!?馬鹿にしてる!?
あ。残念、クラッシック。バッハとか、ラフマニノフとか好き。カラヤンの指揮のCD三枚くらいあるし"
"へぇ。意外だな。
確かにカラヤンの指揮は素晴らしいと思うが、そこまで力説しなくてもいいと思うが?"
いや、します。
音楽に関してだけはかなりうるさい我が家なのです。みんなが皆、好きな作曲家や指揮者が違うし、嫌いなやつだと、コンボで聞いてたら止められるなんて日常茶飯事だ。
"まあ、うちは音楽一家だからね。
それにしても、乗馬かぁ。白馬とか乗ってそうなイメージが司くんってあるんだけど"
"俺の馬は葦毛だ。名前はクリスハートと名付けられているがな
【添付ファイル】"
あ、すごく美人さんだ。
というか、何故に英名っぽくつけたのさ。名付けられたって、父さんか何かかな?
まあ、絶対司くんならさらっと乗りこなしてそうだけど。……ちょっと見てみたい。
"美人さんだね。
………馬って頭いいから可愛いってよく聞くけど、あの高さはやっぱり怖いって"
"クリスは俺が指示を出さなくても行きたい方向に進んでくれるぞ。
まあ、高さは慣れるしかないな。
それより、そろそろか"
時計を確認すると、11時一分前だ。
暗黙の了解で初回以降、この時間にメールを切り上げる事になったのである。まあ、二人とも、部活があるから仕方ない。
切り上げの合図は一分前になる頃にメールを送る方が気にする文を送ることなんだけど。
"だね。
クリスちゃん(?)のこと、もう少し聞きたいけど、明日に響くと困るし
おやすみなさい"
"クリスはメスだが?
おやすみ、よい夢を"
さらっとよい夢を何て書いてくる司くんがカッコいいと思うなんて、どうかしてるよね。
明日は朝から近所の強豪、朝日ヶ丘中と合同練習だし、頑張りますか。