なかよし三人組
「なあ、今日の心霊特集見る?」
「はあ? お前、あんなの見るのか? 作り物のオンパレードじゃねえか。」
そんな他愛もない話をしていたAとB。
不意にインターホンが鳴った。
「すまん、遅れた。」
「遅いぞ、C。」
「ごめんって。そのお詫びと言っちゃなんだけど、差し入れ持ってきた。」
「おお、こりゃいい魚だ!」
AとBが歓喜の声を上げる。
「魚がビールに合うんだよな!」
「馬鹿かお前。魚がビールに合うのは当たり前だろ。」
「ああ、そうだった。Cは料理上手かったもんな!」
BがAに突っ込み、Aは頭を掻いた。
「というかC、このまま生で出されても困るんだが。」
Bが言う。
「ああ、ごめん。調理して来るよ。」
Cが言うと、いきなり机が大きく揺れ出す。
「おいおい、暴れるなって。しっかし、C。お前、よくこんな大きい奴捕まえたよな。」
Aが言う。
「実は、浜辺に打ちあがってたのを捕まえてきたから……。」
「うーわ、それ、衛生的に大丈夫かよ!?」
CにAが言う。
「ま、Cがちゃんと火通してくれるから大丈夫だろ。」
Bが言う。
「ってか話してないで早く食おうぜ! 俺、心霊特集見たいんだって!」
「分かったよ。直ぐに調理してやる。」
Cはそう言うと、ばたばたと暴れる食材を引きずっていった。
「あ、C! きちんと、三つに分けろよ! 三等分だぞ!」
Aが言う。
「分かってるよ!」
Cが返す。
「味付けは塩コショウでな!」
「俺はポン酢で!」
「分かった!」
Cがまた同じ様に返す。
「味付けは大事だからな。」
「それよりもさ、俺、オスよりメスのほうが好きなんだよな。」
「ああ、分かる。メスの方が楽しみが増えるもんな。」
バタバタという音が、台所から聞こえてくる。
「お、始まったな。」
「Cはまたメスで捌いてるのかね。」
「そうじゃね? あいつ、医者だから、包丁よりメスのほうが使い慣れてるって。」
「変わってるよなあ。俺なっらふつうに包丁で捌くけど。」
「お、来た来た。」
「塩コショウは?」
「俺ー!」
Aが手を上げる。
「ポン酢はBか。」
「おお、ありがとう。」
Bが言う。
「Cは何なんだ?」
「俺はソースだ。」
「ソース? 合うのか?」
「チャレンジすることは大事だ。」
Cが言う。
「いただきまーす!」
三人は仲良く手を合わせ、箸を伸ばした。
もぎゅもぎゅと、三人の口が動く。
「うん、毎度同じだけど……。」
Aが言う。
「おいしくは無い……。」
Bが言う。
「でも、癖になる……。」
Cが言う。
三人の箸がまた伸びる。
「うん、うまいな。」
「そうだな。」
「おう。」
三人はジョッキにビールを並々と注ぐと、一気に飲み干した。
「やっぱり、肴は人間に限るな!」
「ああ! その通りだ!」
「この腕も意外にいけるな!」
三人は、笑い合った。
「なあ、C。今度はメスを頼むよ。」