第5話
「はっ!」
俺の気合が入った一撃を食らい。今まで戦っていたビックマウスはポリゴン片になって消えていく。ビックマウスとは、名前のまんま大きいねずみだ。この東の林では、ビックマウスの他にムースという大きな鹿が居る。今、東の林はそんなにプレイヤーが居ない。きっと、レベルが上がって他の林に行ったのだろう。
俺は、みんなと別れてからかれこれ三時間ほど東の林で狩りをしている。そのおかげで、レベルも4つ上がりレベル9になった。合間合間にフィールドで採取もしていたのでアイテムもかなり溜まってきた、なのでそろそろ町に帰ろうとすると、目の前でムースがポップした。俺はすぐさま薙刀を抜きムースに切りかかる。ムースは薙刀の攻撃をまともに食らい怯み、そこに5回ほど切りつけてポリゴン片になって消える。・・・・・・おかしいな。いつもは、4回で倒せるのに。
『ポーン! マモンの超運が発動しました』
電子音と共にギフト発動のメッセージが届いた。俺は、アイテムポーチを開き中身を確認する。
【????】レア度★★★★★
????という、アイテムが入っていた。しかも、レア度星5個のかなりのレアアイテムだ。ちなみに????はアイテム名ではなく鑑定スキルがないのでレベルに合わないアイテムはすべて????と表示されるのだ。
『ポーン! ラクシュミーの生まれ変わりの称号を獲得しました』
称号
《ラクシュミーの生まれ変わり》
・1日に一度まで任意のモンスター一体のレアドロップ確率を逆転させる
なんか知らんが、何もしていないのに称号を獲得してしまった。しかも、この効果って要するに5%の確率しか無いアイテムが95%になるってことだろ。・・・・・・強くね!?
何がなんだかわからない俺は、ひとまず始まりの町に帰って鑑定スキルもちの人に????を鑑定してもらうことにする。
しかし、始まりの町に戻ると同時にチャラチャラした男に捕まってしまった。
「ねえ、ちょっと。そこの君」
呼び止められたので振り返ってしまったのだ。
「はい?」
「それって、薙刀だろ。一人は大変じゃない? レベル上げ手伝ってやろうか」
この瞬間、振り返ったことを後悔した。
「結構です。さようなら」
俺はできるだけ、冷たく強い拒絶を含んだ声で返事を返す。
「そう言わずに、薙刀って当たり判定ゴミだって言うじゃん。ねっ」
男は、俺の拒絶の意思に気付かないのかかなりぐいぐい近づいてきた。
「うざい。触るな」
俺は、そう言って男が掴もうとして伸した腕を払い。町の中央の方に歩こうとする
「おい、ちょっと待てよ!」
そう言って、腕を取られてしまった。
「はいはい。ストーップ! 君、嫌がる女の子無理やり連れて行こうとするのはいただけないよ」
「はぁ! お前には関係ないだろ」
「いやいや、関係あるって私この子の友達だもん。てか、早くどっか行かないとGMに報告するよ」
「ちっ!」
男は足早にどこかへ行ってしまった。しかし、この人は誰だろうか? もちろん、俺にこんな友人は居ない。
「いやー、危ないところだったねー。大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます」
一人でもどうにかなったけが一応、お礼は言っておく。
「どういたしまして。でも、こんなところで立ち話もなんだからうちの露店みていかない」
俺を助けてくれたのは、髪の色が焦げ茶っぽい赤い目をした女性だ。きっと客引きのついでに助けてくれたのだろう。
「さあさあ、いらしゃいませ。ようこそエルの露店へ。武器やアクセサリーに買取、鑑定なんでもござれの店だよ。そして私が店主のエル、よろしく」
「すごいですね、もうお店持ってるって事は、βテスターですか?」
「まあね。そう言う君は?」
そういえば、まだ名乗っていなかったことにいまさら気付く。
「ヨヤです。ちなみにβテストは兄妹と友人がやっていただけで、俺は誘われてはじめた感じですね」
「へー、そうなんだ。よろしくねヨヤちゃん。ところでどう?なんかほしいのある?」
エルさんから、助けたんだからなんか買って行きなさいよオーラが発せられる。だが、そんなものに屈する俺ではない。
「今、金欠なので何も買えませんけど、買取と鑑定をお願いしてもいいですか?」
「オーケー、オーケー。」
丁度良いので俺は、トレード画面を開き東の林で倒したモンスターで売れそうなアイテムをありったけ載せていく。
大ねずみの皮×18、大ねずみの牙×10、大ねずみの前歯×12、大鹿の角×13、大鹿の皮×9、大鹿の瞳×10。
とりあえずこんなもんかな。
「んー、東の林のアイテムか~。これ既に、結構出回ってるから、一個20Gでいいかな?」
「はい。大丈夫です」
一個20Gと言うと1440Gか意外と貯まったな。これなら、はじめの1000GとモンスターからのGをあわせて新しい武器を作ってもらえるかも。
「はい、1440G送ったよ。それと何を鑑定してほしいの?」
「これです」
俺は、さっきムースからドロップした。????を実体化させてエルさんに見せる。
「へー、なになに。それ何の石?ちょっと貸して」
「はい」
エルさんに実体化させた????を渡す。
「ええっ!? こ、これって」
「ん? どうかしたんですか?」
エルさんは????と俺の顔を交互に見てくる。
「ヨヤちゃんこれどこで手に入れたの?」
「いや、東の林のムースからのドロップアイテムですけど」
「いやいや、そんなわけないって、だってこのアイテムβテストのときはボスからのドロップでしか出なかったもん」
「で、でも。ムースから出ましたよ。ギフトは発動しましたけど」
そう、このアイテムはマモンの超運が発動してドロップしたのだ。ならば普通のプレイヤーは相当すごい確立なのだろう。
「ところで、そのアイテムどんな効果なんですか?」
「ああ、これはスキル石って言って、スキルを一つ獲得できるアイテムなの。普通は、レベルが上がるごとにもらえるSPを消費してスキルを獲得するでしょ。それをスキル石はSP消費ゼロでスキルが獲得できるの」
βテストの時はほんとにすごかったらしい、初めてのボスはみんなが一つずつ貰えるそうだが、二回目からは、一気に確率が落ちてほとんど手に入らないらしい。てか、スキルってそうやって獲得するんだ。
「ところで、ヨヤちゃんこのアイテム50000Gで買うけど売らない?」
そう言って、スキル石を返してくれた。正直50000Gは魅力だ、でもやっぱり売れない。いくら、運を極めると言ってもさすがに攻撃系のスキルが共振だけってのも考え物だ。ちなみに、共振は打撃攻撃専用のスキルがだ思った通り薙刀の石突きと持ち手の部分で攻撃すれば発動する。
「すいません」
「いいって、いいって。そんな気にしないで。あっ! それじゃあ、フレンド登録しよう。そんでもって、これからアイテムとか売りに来るときはうちに来てよ。レアアイテムの鑑定もするから」
そして、エルさんからフレンド要請が来た。俺は、すかさずOKボタンを押し了解する。・・・・・・この人、結構いい人だな。
「わかりました。これからはエルさんのところに売りに来ますね」
「うん。これからよろしく、ヨヤちゃん」
その後、結構いい時間だったので夕飯を食べようと思いログアウトした。
《ラクシュミーの生まれ変わり》
獲得条件
ノンアクティブモンスターから一番初めにスキル石をドロップさせる。