第3話
昼の11時、俺と理沙はそわそわしながら昼飯のカレーライスを食べている。
「おい、少し落ち着け。まだ後、1時間あるんだろ」
「な、なにを言ってるんですか兄さん。私は、いつも通りですよ」
いやいや、そんな訳無いだろ現に今もチラチラと時計見てるし。まあ、そう言う俺もけっこう時計見てるしあんまり言えないのだが。
「それでは、兄さん。私は食べ終わったので、先に失礼しますね」
「おう、わかった。それと、夜もカレーだから自分のタイミングで食べてくれ」
「はい。それでは、兄さんお先に」
さて、俺も食べ終わったことだしさっさと片付けして、準備するか。
そして、時刻は12時。俺はベットに寝転がってスフィヤを頭に付ける。すぐに、レム睡眠誘導が始まり体は寝ているのに、頭は起きている。そんな状態になり。視界が広がり綺麗な西洋風な町並みが見えてきた。
『名前を入力してください』
目の前の表示に促されるままに、空中に浮いているキーボードを叩く。
VRゲーム始めての俺は、ゲームの中でもキーボード入力なんだ。なんて、的外れなことを思い、自分のゲーム内でのいつもの名前【yoya (ヨヤ)】と入力する。ゲームの説明を聞きますか?という選択が出たが俺は、このゲームに知り合いが少なくとも4人は居るのでわからないことがあればみんなに聞けばいいかと思い、noを押す。
『武器を選択してください』
その表示と共にかなりの数の武器名が展開する。俺は、迷い無く昨日から決めていた武器を選択。
『薙刀が選択されました。本当によろしいですか』
yes/no
という表示が出たがもちろんyesっと。この武器は、理沙が昨日使いにくと言っていた武器だ。でも、サイトや書き込みを見ている限りそうは思わなかった。使い方は槍と太刀を組み合わせた感じだし、当たり判定に関してもしっかり当てれば済む話だ。何より、薙刀を使う奴が少なくなると踏んでレア感が出ると思ったのが一番の理由だけど。
『スキルを選択してください』
そんなことを考えてるうちにスキル選択の表示が出てきた。目の前にずらっとスキルが並んだウインドウが展開。しかし俺は、昨日のうちに決めておいたのスキルをすぐさま選択。
『本当にそのスキルでよろしいですか』
yes/no
この表示も、もちろんyes。
『divine giftは始まりの町の教会などにて取得可能ですので忘れずに。 それでは、あなたに神のご加護があらんことを』
そして、俺の前の景色が色付きはじめ。視界が開け、見渡せば周囲にはたくさんの人であふれ返っていた。みんなが一斉にログインしたみたいだ。
俺は、すぐに町の中央にある大きな時計台に向かう。そこは、理沙との待ち合わせ場所だ。しかし、何だか感覚が変だ。俺はVRゲーム初めてだからかもしれないが、なんか妙に体が軽い、さらに、少し体の線がが細く長くなっている気がする。ただでさえ、中性的な見た目をしているのにこんな体だと女に間違われるのではないだろうか。しかも、周囲からやけに視線を感じるし。この視線は薙刀のせいかそれとも・・・・・・。いや、止めよう。そんなこと考えても良いことなんて一つもない。そう思い、俺は理沙の待つ時計台に向かった。
やっとたどりついた時計台の前には多少の違いはあったが見知った顔の、理沙、風姉さんと凛姉さん。それと、集が既に揃っていた。きっと、風姉さんと凛姉さんそれと集は理沙が呼んだのだろう。
「理沙で合ってるよな」
「あっ、はい。 ええっと?? もしかして兄さんですか?」
「ああ、お前の兄だ」
「ええっと。鏡ちゃんこのゲームはネカマできないのに何で女の子なの?」
「というか、どうやったの鏡也」
「いや、まず女の子じゃないから」
風姉さんと凛姉さんが不思議そうに聞いてきた。このゲームはネカマができない、ゲームで性別を変えるとアバターの動作に強い違和感を感じるからだ。同様に体型なども大幅に変えることも出来ない。俺はプレイヤーカードを可視化にしてみんなに見せる。そこにはしっかりmanと書いてある。
「ヨヤって言うんだ兄さ・・・いや、ヨヤ姉さん」
「そうね、そんなかわいい見た目で兄さんはないわねヨヤちゃん」
「だね、これからよろしく。ヨヤ」
「まあ、なんだ・・・・・・がんばれヨヤ」
こいつら絶対面白がってやがるな。だが、まあいい。現実世界と言うほど変わらないだろ。
その後、4人全員とフレンド登録をした。
「ところで、みんなどんなスキル取ったの?」
「そうね、私はこんな感じかしら」
風姉さんはそう言って、ステータスを可視化にして見せてくれた。
【フー】 level 1
Str 10
Vit 10
Agi 11
Dex 10
luc 10
weapon
骨のレイピア
skill(0)
【レイピア使い】
・レイピアの攻撃力を1.2倍
【ステップ】
・回避速度up
【見切り】
・攻撃の軌道予測
【刃物攻撃力up(小)】
・刃物の攻撃力を1.1倍
【俊敏性up(小)】
・Agiを1.1倍
【切れ味】
・武器の耐久値の減少を1/2にする。
【ジャンプ】
・ジャンプ時の高さup
【マッピング】
・半径一キロをマッピングする
【防具性能up(小)】
・防具の守備力が1.1倍
【忍び足】
・足音が小さくなる
ちなみに、他の3人のステータスも見せてもらった。
【リン】 level 1
Str 11
Vit 10
Agi 10
Dex 10
luc 10
weapon
骨弓
skill(0)
【弓使い】
・弓の攻撃力を1.2倍
【攻撃力up(小)】
・Strを1.1倍
【鷹の目】
・遠くのものまで見ることができる
【ロックオン】
・見える範囲の敵一体に狙いを定める
【自動回収】
・飛ばしたものが着地から10秒後に回収される
【忍び足】
【隠密】
・モンスターに発見され難くなる
【開戦の狼煙】
・未発見からの一撃が1.5倍になる
【猫の目】
・暗い所でも良く見える
【飛び道具攻撃力up(小)】
・飛び道具の攻撃力を1.2倍
【リーサ】 level 1
Str 11
Vit 10
Agi 11
Dex 10
luc 10
weapon
骨の双剣
skill(0)
【双剣使い】
・双剣の攻撃力を1.2倍
【HP上昇(小)】
・hpを1.1倍
【猫の目】
【見切り】
【攻撃力up(小)】
【刃物攻撃力up(小)】
【ステップ】
【俊敏性up(小)】
【ジャンプ】
【切れ味】
【シュウ】level 1
Str 11
Vit 10
Agi 10
Dex 10
luc 10
weapon
骨の大剣
skill(0)
【太刀使い】
・太刀の攻撃力を1.2倍
【根性】
・半分以上から瀕死の攻撃を受けても1残る
【決死の覚悟】
・HPが1の時Strが2倍
【筋力上昇】
・重いものでも軽々持ち上げられる
【ステップ】
【攻撃力up(小)】
【刃物攻撃力up(小)】
【切れ味】
【見切り】
【ジャンプ】
みんな、意外と戦闘に特化させている感じがする。
「ところでヨヤ、お前はどんなスキル取ったんだ」
「そうです、私たちにもヨヤ姉さんのスキル見せてください」
「ああいいぞ」
俺は、自分のステータス画面を可視化モードにしてみんなに見せた。
【ヨヤ】 level 1
Str 10
Vit 10
Agi 10
Dex 10
luc 11
weapon
骨の薙刀
skill(0)
【薙刀使い】
・薙刀の攻撃力を1.2倍
【幸運】
・レアアイテムが少しだけ出やすくなる
【招き猫の加護(右手)】
・モンスターからのGが少し増える
【招き猫の加護(左手)】
・モンスターのポップが比較的近くで起きる
【招き猫の加護(手長)】
・遠くの福を呼び寄せる
【招き猫の加護(手短)】
・手近な福を呼び寄せる
【運気up(小)】
・lucを1.1倍
【ギフト使い(初期スキル選択でのみ選択可能)】
・回数型ギフトの使用制限が1増える
【共振】
・攻撃での振動を増幅させる
【採取】
・アイテムの採取場所を特定できる
「こんな感じなんだけど」
これを見て、リーサは可愛そうな奴を見る目でみてきたし。フー姉さんとリン姉さんは苦笑いを浮かべているし、シュウにいたっては大爆笑である。
「ねえ、ヨヤちゃんは何をしたいの?」
「うーん、やっぱり普通の人と同じじゃ面白くないかと思って運を極めることにしたんだ」
「はぁ~、ヨヤ姉さん。このスキルでは、まずモンスターを倒すのが大変ですよ。しかも、よりにもよって薙刀とか。それに、薙刀だと共振のスキル使えないじゃないですか! 姉さん私の話聞いてましたか?」
久しぶりに理沙が怒ってるな、理沙は怒ると笑顔になるのでかなり怖い。
「まあまあ、リーサちゃんこいつはこいつの考えがあるんだからそんなに怒りなさんなって」
「で、でも・・・」
「それより、これからどうするの? 結構、時間経っちゃてるから教会はプレイヤーでいっぱいだよ。やっぱり先にフィールド出ちゃう? 今ならそんなに人いないだろうし」
リン姉さんは、ギフトより早く狩りに行きたいようだ。俺からしたら、リーサからの追及を逃れられたのでリン姉さん万歳である。
「そうだね、東の林はギフトなしでも十分戦えるし先フィールド出ちゃおっか」
「・・・・・・そうですね、ギフトはいつでももらえますし」
「それじゃあ、この5人でパーティー組んで東の森に行こうか!」
「「「「おーーー!!」」」」
こうして、俺のDGO生活が始まった。
Str:筋力
Vit:生命力
Agi:素早さ
Dex:器用さ
luc:運