第29話
初めて、主人公の本名が出ます。
最近、忙しすぎて執筆する時間がありません。
もしかしたら、近々更新が止まるかも・・・・・・
「兄さん、早くしないと置いてきますよ」
「ちょっと待ってくれ、もう終わるから」
翌日の朝、俺と理沙は制服に着替えて出かける準備をしていた。
なぜ、夏休みに制服なんか着てるかって? それは、今日が登校日だからだ。といっても、ホントに行って帰ってくるだけなんだけど・・・・・・マジで、何のために行くんだ?・・・
「まったく、一人で倒しちゃうなんてずるいです。兄さん」
「・・・おい、それ何回目だ。もう、いいだろ。一緒に狩る約束もしたんだし・・・」
家を出て戸締りを確認した俺に理沙がそんなことを言ってくる。
理沙には、昨日の内に俺がネメアライオンを倒したことは言ってある。ていうか、尋問されて言わされた。
理沙曰く、なんだか挙動不審すぎて隠し事してるのバレバレ、らしい。・・・・・・ん~? そんなにおかしかったかな?
結局昨日は、出くわすたびに今のような文句を言われ続け。今さっき、朝食の席でネメアライオンを狩りに行く約束をしてしまったのだ。
「ああ、そうだ。昨日言い忘れてたけど俺、エルさん達のギルド入ったからお前のところ行けなわ」
「・・・・・・え? 兄さん、エルさんってあのエルさんですよね? しかも、ギルド入ったって・・・・・・いや、いいです分かりました。でも、ネメアライオンは絶対一緒に来てもらいますからね。絶対ですよ!」
「はいはい、分かってるって。 でも、そんなに驚くことなのか? どっちかって言えばあっちの方から来てくれって感じだったけど・・・」
まあ、その後に、今後仲間を追加する予定は無いとか言ってたから、基本はエルさん達だけの身内ギルドなのかな?
「・・・兄さんってあのエルさん達のこと何にも知らないんですね。あの二人が私達の間でどういう印象なのか――――」
理沙が言うには、エルさんとオーカさん、特にオーカさんに防具を作ってもらってる奴はもれなく全員勝ち組らしい。
プレーヤーの中ではエルさんとオーカさんは、圧倒的な生産技術を持つのに対し、気まぐれで、気に入った相手にしか装備品を作らないとの事・・・・・・ってことは、初めのころに、エルさんとフレンドになったって言ったときの有名はそう言うことだったのか・・・
さらにはギルドへの勧誘も全て断り、あまつさえフー姉さんとリン姉さんの勧誘も断って自分達でギルドを立ち上げる始末。
で、そんな最高物件に何故か入ってしまえた俺・・・なるほど、かなりラッキーだったな。もしかしてこれもluc極振りの・・・・・・なわけないか。
「・・・なるほど、あの二人ってそんな評判だったのか。てか、理沙の装備ってもしかしてエルさん達のか? あの二人は、お前のこと知ってるみたいだったけど」
「そうですね。と言うより、私達です。風姉さん達のコネで雪月花のみんながエルさんとオーカさんの恩恵を受けれています」
なるほど、だから、理沙達のパーティーは5人なのに攻略組でいられるのか。
「しかし、困りましたね。てっきり兄さんが入るものだと思って空けておいたのに、これでは、完全に1席あいてしまったじゃないですか。 唯でさえ私達には、敵を引き付ける盾役がいないのに・・・」
そう、不満を漏らす理沙。でも、確かに理沙のパーティーに盾役はいないな。一応、ユキとスイが引き付け役をやっている様だったが、専門じゃ無い分危なっかしい。
こうして、15分ほどの通学路をDGOの話をしながら歩いていく。
「オッス! 鏡也」
「おう、おはよう。集」
下駄箱で理沙と別れた俺は、教室に入る直前で集の奴と出くわした。
「・・・おい、知ってるか。昨日、ついに難攻不落のネメアライオンが討伐されたって話」
「知ってるぞ。で、それが何だって言うんだ?」
「いや、別に大したことじゃないんだけど。誰がどうやって倒したかがさっぱりわかんねーらしいんだ。しかも、今回倒した奴等は扉閉めてたみたいで、後から来たプレーヤーが扉を開けようとしてもびくともしなかったってさ」
悪かったな扉閉めて。でも、ゲームオタクのコイツに情報が回ってきてないってことはうまくいけばこのままバレずにいつも通りのプレイを続けれそうだ。
ちなみに、扉を中から閉めた場合、外側からは開かないようになる。中からは開くのだが開くスピードが遅いので開ききるより先に、ボスの攻撃が飛んでくる。
「いいんじゃね。きっと、注目されたくない奴らだったんだよ」
俺は、そう言って話を流して教室に入る。
ちなみに、この学校は4階建で上から順に1,2,3年と学年が上がっていくに連れて下へ降りていく。1階は特別教室と職員室だ。
「あっ、おはよー。深鏡くん」
「おはよう。桐沢さん」
教室に入った俺に真っ先に挨拶をしてくれたのは2年連続同じクラスの桐沢優希さん。見た目、中学生みたいだが正真正銘、俺達のクラスメイト。・・・髪型がショートカットじゃなかったら、ちゃんと高校生に見えると思うのになー
「お! 桐沢じゃん、お前相変わらずちっちゃいなー。どうだ? 休みのうちに1ミリぐらい伸びたか?」
「うっさい! ボケッ!!」
「うがっ!?」
からかわれた桐沢さんは集の奴に強烈なローキックをお見舞いしている。・・・相変わらず懲りない奴だな集・・・
この光景は、1年のときからのお約束だ。集は長期休暇が終わるたびに桐沢さんをからかっている。
ちなみに、桐沢さんは空手の有段者で、中学の時には全国大会にも出場したこともある実力者だ。
しかし、体格の差もあってか全国大会で、後一歩のところでやられて負けてしまい、体格的に空手が無理なことを悟ったそうだ。今では空手を止めて女子力を磨いているとか何とか・・・・・・それなら、まずは髪から伸ばしてみよう桐沢さん
「まあまあ、じゃれあうのはそのくらいにしとけよ。もう、チャイム鳴るぞ」
「へいへい」
いつまで経っても、軽口を止めない集を無理やり自分の席に戻し桐沢に向き直る。
「ゴメンな。桐沢さん、分かってると思うけどあいつはウザイだけでそこまで悪い奴じゃないから嫌わないでやってくれ」
はあ、ホントに集のフォローはめんどくさい。桐沢さんはクラス内で(主に女子)マスコット的立ち位置なので、桐沢さんに嫌われると連鎖的にクラスの女子全員から嫌われてしまう。
「いいって、気にしてないし。・・・・・・・・・あ、あのさっ!」
「ん? どうした?」
「・・・・・・いや、やっぱ何でも無い!」
何かを言いかけて、何も言わずにスタスタと自分の席に戻っていく桐沢さん。・・・・・・いったい、どうしたんだろ?
キーンコーンーカーンコーン♪♪
しかし、チャイムがなってしまい担任が入ってきたので、聞き返すタイミングを逃してしまった。――――――まあいいか、重要なことならいつか話してくれるだろ
その後は、校内の清掃をしたのち体育館で生活態度云々の注意を聞かされ教室で細々とした連絡を聞く。
「――――それと、夏休みが終わったらすぐに文化祭の準備に取り掛かるので何をしたいのか決めて置くように。以上」
・・・・・・あー、そういえばもうすぐ文化祭だったな。
担任の話が終わったので委員長が号令をかけて無事登校日の終了だ。
「ヨヤ、久しぶりに今日どうだ? 帰ったらすぐいけそうか?」
「おい! こっちでその呼び方すんな! って、悪いな今日は無理だ。用事がある」
「へいへい、で、何だ用事って? 狩り関係なら手伝うけど?」
「いや、俺のギルド入会のお祝いだ」
「ほー、なるほど。で、どこのギルドに入ったんだ? やっぱり、理沙ちゃんかそれとも風さんのところか?」
やっぱり、俺が入るとしたらその二つになるんだな。実際、考えたけどさ。なんか、それ以外交流が無いように思われてちょっとイラつく。
「残念、どっちもハズレ。正解は天使の福音だ」
「ん?・・・・・・はっ!? お前、天使の福音ってもしかして・・・」
ふっふ~♪ 集の奴驚いてやんの、ったく俺だって多少の交友関係くらいあるんだよ。
「なになに、なんの話してんの? 私も入れてよ~」
集が驚いている間に、桐沢さんが話に加わる。あれ? もしかして桐沢さんもDGOやってる?
「いや、桐沢さん。DGOの話だけど分かる?」
「えっ!? もしかして、深鏡くんもDGOやってるの? うれしいな、あたし昨日始めたばっかりだから今日一緒にしようよ」
どうやら、桐沢さんは昨日の第二陣プレーヤーのようだ。
「いやー、このバカから紹介されて始めてみたんだけどあれかなり面白いね。昨日は、きっちり8時間、プレイしちゃった」
「へー、集から勧められたんだ・・・」
集の奴はバツの悪そうに顔を背ける。――――ふーん、そう言うことね。
「あー、ゴメン。今日は無理だから明日ね。その代わり、コイツ使っていいから今までの分、たっぷり絞ってやってくれ」
「ちょっ!? おい!」
横から、何か聞こえた気がしたがそんなものは華麗にスルーして俺は集を桐沢さんに差し出す。
「んー・・・まあいっか、それじゃあよろしく佐渡」
「へいへい、勧めた側だからしばらくはサポートしてやるよ」
まったく、集の奴も素直じゃない。そんなんだといつまで経っても振り向いてもらえないぞ。
「じゃあ、深鏡くんとは明日までお預けだね。何時から?、どこ集合でする?」
「いや、そんな面倒なことしないでケータイで連絡取ればいいだろ。ほれ、集も」
「お、おう」
そして、俺達のケータイに桐沢さんのアドレスが追加される。
「それじゃあ、明後日のことは今日の夜にでも決めるってことで、じゃあな」
「おう」
「うん、ちゃんとメール送るから」
そう言って、下駄箱で待っていた理沙と一緒に帰り、昼食を適当に済ませて、DGOにログインする。




