第18話
俺は翌日もその次の日もそのまた次の日も鉱山に籠って【ミスリル】を探し続けた。
三日掛けて鉱山を探し回り幾度と無くつるはしを振るい。時には、マモンの超運が発動し化石が手に入り舞い上がって、スキルブックで取得した【復元】と高級復元キットで復元してみれば【瑪瑙】だったり【透輝結晶】だったりと肩透かしを食らい続けていた。(透輝結晶は透輝石10個分の効果がある)
その代わり強化鉱石や微レアな鉱石類は山のようにあるのだがそんなことは慰めにしかならない。
正直言ってそんな簡単に【ミスリル】を掘り当てられるとは思っいなかったがまったくの手がかりがない状態で三日も探し続けるのはさすがに堪える。
そこで【ミスリル】探し四日目の今日は普通の戦闘フィールドでミスリルを探そうと思う。
一応、戦闘フィールドにも採掘ポイントがあるらしくそこに望みを賭けることにしたのだ。というか、他に思い当たらなかっただけだが・・・。
それとこの三日で【幸運】が【強運】に【運気up(小)】が【運気up(中)】に進化した。
【強運】
・レアアイテムが比較的出やすくなる
【運気up(中)】
・lucを1.3倍
「コール! 《アーク》、《ガーベラ》」
俺は、戦闘フィールドに入った瞬間パートナーを呼び出す。ここの戦闘フィールドは左右を俺が採掘していた鉱山に挟まれた谷になっている。
アークとガーベラは鉱山の戦闘でレベルが14にまで上がった。今では鉱山のモンスターを10分程の時間で倒してしまうぐらいになった。
体格の方はアークは大きさが俺と同じぐらいまで成長しガーベラも50センチほどしかなかった全長が2メートル程にまで成長している。
「それじゃあ、行こっか」
俺が歩き出すととアークは横に並びガーベラは(さすがに肩に乗らなくなったので)アークの背中に乗っている。――――うん、うん。パートナーモンスター同士の仲がいいのはいい事だ。
昨日アークの背中になんとなく乗せてもらったのだが移動速度が歩きと変わらないぐらいで空なんて飛べそうに無かった。・・・・・・アークでの空中戦はまだ先かな・・・
道中で何回かの戦闘をしながら歩くこと20分。ついに、数少ない採掘ポイントを発見した。周りにケイトスというモンスターがいるのでとりあえずアークとガーベラに任せて採掘する。―――カンッ!【メラナイト鉱石】、カンッ!【金剛石】、カンッ!【石ころ】、カンッ!【鉄鉱石】・・・・・・
「ふー。こんなもんかな」
採掘場所に何もなくなってしまってたのでアークとガーベラを助けに行く。
やはり、ここのモンスターは早かったのかアークもガーベラもかなり苦戦しているようで攻撃を避けるのに精一杯って感じだ。
「はっ!」
俺は自己回復手段がないガーベラのほうから助けに入る。死角から放たれる薙刀の攻撃がケイトスに直撃しHPゲージは二割ほど減った。そこから、余裕が出来たガーベラと俺で波状攻撃を仕掛けものの数分で倒す。その後すぐにアークの方にも助けに入りアーク、ガーベラ、俺の3人でケイトスを滅多打ちにしてやった。
ここには採取ポイントが無かったので次の採掘ポイントへ移動する。2時間ほど掛けてフィールド歩き回り4つの採掘ポイントを見つけたがどれもヒットしない。
ついにボス部屋の一歩手前の洞窟で最後の採掘ポイントを見つけた。やはりあるとしたらこうゆう奥の方が怪しそうだ。
すかさず採掘を開始する。しかし、いくら採掘しても化石どころか強化鉱石も出てこない。―――マジかー、まさかここもハズレなのか・・・・・・
そう思いつつもなのも取れなくなるまで採掘を続ける。
「ん? どうした??」
採掘の最中にガーベラがちょんちょんとつついてきた。なにかと思いガーベラの方へ振り返るとそこには、小さな祠があり中にはぼろぼろになった銅鏡のようなものが祭ってあった。
「この祠がどうしたんだガーベラ?」
ガーベラは、可愛い鳴き声をあげるだけで俺には何が言いたいのかさっぱり伝わらない。試しにアークを見てもアークは知らん顔してガーベラを背中に乗せているだけだし。
「んー、とりあえずこれを見てみるか」
鑑定スキルを使い祭ってある銅鏡を鑑定してみる。
【割れた太古の銅鏡】 レア度★★★★★★★★★★ (持ち出し不可)
記述:割れてしまった太古の銅鏡。失われた技術ににより現在では修復を可能にする者はいないとされている。
・・・・・・な、なんとも胡散臭いアイテムなんだろうか? ってか、修復は無理でも【復元】なら直せるんじゃね?
俺は、とりあえずスキルを使い割れた太古の銅鏡を復元していく。
「・・・ふー。やっと直った」
いつもの化石程度ならすぐに復元が終わってしまうが、この銅鏡は復元するのに30分も使ってしまった。
そして、出来たのがこれである。
【太古の銅鏡】 レア度★★★★★★★★★★ (持ち出し不可)
記述:伝説の龍が宿るといわれている銅鏡。
この記述を読み終わった瞬間、銅鏡が眩い光を放ち視界を真っ白にそめていく。
「な、なんだ!?」
俺の声を掻き消すようにすべてを銅鏡が飲み込んでいく。その光に耐えられず腕で目を覆い―――――次の瞬間、何かに吸い込まれる感覚が俺を襲う。
軽い浮遊感と共に眩い光が収まり地にしっかり足が着いている感覚がよみがえる。
光のおかげで少し視界がぼやけているが状況確認のため周囲を見渡し。―――――目の前の光景を見て言葉を失った。
『―――ふむ、お主が我が依り代を直した者か・・・』
まず、目に入るのがキラキラとした鉱石類の数々。というより、それしか見えなかった。
これがあまりにも大きすぎて一目で何か把握できなかったのだ。
「・・・・・・」
俺は、全速力で頭を回転させるがどうにも空回りしているようでまったく言葉が出てこない。
ひとまず、正体の把握だけでもしようと思い瞳を全力で動かす。そこに、見えるものは全身に色とりどりの鉱石を纏う小山。
しかし、鉱石の鎧の隙間から見えるのは確かな皮膚。それに、顔を上げれば俺の身長よりも大きな頭に一対の大きな角。口は尖った牙が並び瞳は赤く爛々と輝いている。さらに、視線を下げれば背中にぎっしりと並ぶ鉱石の数々。一応、翼はあるが大きさ的に飛ぶためのものではないのだろう体に比べてかなり小さい。
『おい! いつまで固まっておる。それで、お主は我に挑戦しに来たのか?』
「なっ!?」
この言葉に、俺は全力で首を横に振る。ちなみに【鑑定】のスキルでHPバーと名前を確認したのだが名前の欄に?????と書かれていてHPバーはERRORと表示されている。きっと、格上過ぎて情報が判明しないのだろう。
『ほう、違うと申すか。ならばなぜ我の元に来たのだ。わざわざ壊れた銅鏡まで直して・・・』
「いや、ちがうんです。あなたに会うために銅鏡を直したんじゃなく。銅鏡を直したらここに来たんです」
俺は、必死に弁解する。もし、戦うなんてことになったらたぶん一撃掠っただけでも死に戻りだろう。
『ほう、善意で直したと申すか。・・・・・・良かろう、そう言うことにしておいてやる。ならば、我は腹が減った。お主が我を満足させられたのなら、何か一つ願いを聞いてやる』
「は、はい!」
そう言って、試すような視線を向けるドラゴン。
とは言えこのドラゴンなにを食べるのだろうか? やっぱり肉か? それとも、体中に鉱石が付いてるから鉱石かな?・・・・・・よし!
俺は、一か八かこの数日掛けて集めた鉱石類をすべて実体化させドラゴンの前に積んでいく。ちなみに、【透輝結晶】と【透輝石】だけは勘弁して貰った。
『ほう、お主。我の好物を知っておったか』
ドラゴンは、そう言ってバリバリと鉱石を食べていく。俺の前に、山のように積まれた鉱石類がどんどん数を減らしていく。――――――お、俺が三日かけて集めた鉱石たちが~・・・」
ドラゴンが食べ初めて数分後、俺の鉱石は綺麗さっぱりなくなっしまった。
『ちと少ないが、人間にしては上出来じゃ。さあ、願いを言え』
ドラゴンは、今の鉱石で満足してくれたみたいだ。――――んー、願いか。どうしようかな?・・・・・・あ! そうだ。
「ミスリルをください」
『ミスリル? なぜ、そんなものを? ・・・まあ、良いか。ミスリルじゃな』
ドラゴンはそう言って自分の背中に生えている柱みたいな太い銀色の鉱石の先端を折って渡してくれた。
【ミスリル結晶】 レア度★★★★★★
記述:太古の昔に採掘が不可能になった鉱石の塊。銅のように加工でき銀のように美しい。
ドラゴンから渡されたのはミスリル結晶だった。んー、どうしよう? 結晶だから普通のミスリル10個ってことだろ。寄贈はミスリル1個でいいから9個分は余分に寄贈しちまうってことだよな?
それに伝説級の鉱石をこんな序盤で加工できるプレーヤー何ていないだろうからやっぱり諦めて寄贈するしかないのか・・・
「ありがとうございます。しっかりと受け取りました」
『ああ、そうか。ではさっさと帰れ。銅鏡の前に立つと来たときと同じように帰れるはずだ。次来た時は問答無用で叩き潰してやるからそのつもりでいるのだぞ』
「・・・は、はい! し、失礼しました!」
俺はドラゴンのドスの効いた声から逃げるようにして銅鏡の光に包まれるのだった。
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