第16話
これにてお盆連続更新は終わりです。
次の更新は18日を予定しています。
エルさんとタルサにワープした俺はNPCのショップでつるはしなどの採掘に必要なものを買い込み鉱山に来ていた。ちなみに、【採掘】スキルがないと鉱山はアイテム採取が出来ないので移動中に【採掘】を取得済みだ。まあ、採掘なら取得しておいても損にはならないだろうし。
「よし! ヨヤ君。ここら辺から、手分けして採掘していこうか。私は、左から回るから。ヨヤ君は右から回って!」
「わかりました」
俺は、エルさんの指示どうり分かれ道になっているの右側も道を進み採掘ポイントがあればつるはしで採掘していく。――――カンッ!《鉄鉱石》、カンッ!《鉄鉱石》、カンッ!《透輝石》、カンッ!《メラナイト鉱石》・・・。
この調子で、3時間ほど掛けてあらかたの採掘場所から鉱石を採掘し終わった俺は、エルさんに連絡して分かれた場所に集合していた。
「どう? ヨヤ君。何か、レアな鉱石取れた?」
「いや、そもそも何がレアで何がレアじゃないかの区別が付かないんですけど・・・」
とりあえず、カタカナ表記の鉱石がなんだかレアっぽいぐらいしか俺には区別が付かない。まあ、その鉱石もそこまで多く取れたわけではないのだが。
あとは一回だけギフトが発動して手に入れたアイテムがあったのだが不思議なことにレア度が1と言うなんとも微妙なアイテムだ。
【何かの化石】レア度★
説明:何かの化石。何の化石かはわからない。
いろいろと、謎の多いアイテム。なんだよ、何かの化石って! しかも、レア度1だからどうせ石ころとかそんな感じのアイテムな気がする。ってか、化石の復元とか俺できないんですけど? それに、スキルにも化石を復元できそうなものはなかったし。一体どうすれば・・・。
ひとまず、βテスターのエルさんに聞いてみるのがいいだろう。
「ヨヤさん、化石ってアイテム出たんですけど復元とかってどうするんですか?」
「・・・・・・あのさ、ヨヤ君。」
「はい? なんですか?」
エルさんは化石って名前に耳をピクッ!ってさせた後、いつに無く真剣みを帯びた声音で俺の名前を呼ぶ。
「前から思ってたんだけどさ、レアアイテム出すぎじゃないかな! なに? なんか、裏技でも使ってるわけ??」
な、なんだか、エルさんがすごく混乱している。【何かの化石】ってそんなにすごいのか?
まあ、とりあえずエルさんの質問の答えは決まってる。
マモンの超運のおかげだろう。だって、魂系のアイテムにしてもサブリメイションシステムにしても必ずこのギフトが発動しているからな。
さすがユニークギフトって所だろう。こんなすごいギフトがぽんぽんあったらゲームバランスが崩壊してしまう。
後は、俺がluc極振りってのもこの結果に拍車を掛けてるぐらいか。
「わかりましたから、ちゃんと説明しますから。ちょっと落ち着いてください」
俺は、エルさんにレアアイテムが出やすい理由を町に戻りながら話していく。時折、『なっ!』とか『へー』といったリアクションはしていたが基本的に黙って聞いた。
「そ、そうなんだ。なんかゴメンねー取り乱しちゃって。しかし、ユニークギフトにluc極振りってかなり無茶なことしてるね。まあ、結果ものすごいことになっちゃってるけど」
「そうですね、今思うとかなり無茶なことだったと思います。きっと、このユニークギフトが無かったら今頃スキル総入れ替えして均等にポイント振ってたと思いますよ」
「確かにね、初めの方は何とかなるかもだけど南の林あたりからつまずいてただろうしね。おおっ、もう町に着いちゃった。そろそろ、防具の方も出来るだろうし戻ろっか」
「はい」
一通り話したら結構な時間を使っていたみたいでいつの間にかタルサの町についていた。
俺とエルさんは噴水の前で始まりの町にワープする。
『ヨヤ! 終わったぞ、早く取りに来い!』
そんな、チャットが届いたのは俺が始まりの町に着いた瞬間だった。――――な、なんてベストタイミングな。
俺とエルさんは、すぐさま桜吹雪亭の向かう。
「こんにちはオーカさん。どうです、良い防具作れました?」
「おお、ヨヤ。やっと来たか待ちくたびれたぞまったく」
オーカさんは、そう言って出来上がったばかりの防具を実体化させていく。
「どうよ、私の自信作は」
オーカから受け取った防具は、俺の想像していたゴツゴツの鎧ではなくかなりカジュアルな動きやすそうな防具だった。まあ、俺の戦闘スタイル的にゴツゴツの防具じゃ動きにくいからこの方がいいんだけど。
「はい、想像していた以上に良い出来です」
「あたりまえじゃねえか、私を誰だと思ってるんだ」
俺は、受け取った防具を早速装備する。
防具名:オルトスフード
部位:頭
防御力:45
効果:Str+15 Agi+15
追加効果:luc+3
他の防具は上から順にジャケット、グローブ、パンツ、ブーツで効果はフードと同じ内容だ。ちなみに、このフードはジャケットと一体化する仕様になっているらしく装備するとあたかもパーカーみたいになる。
「ヨヤ君、いいね。似合ってるよその防具」
「ああ、似合いすぎて作った私でもびっくりだ。っと、そうだ折角だしフードも被ってみてくれ」
「は、はあ。わかりました」
俺自身パーカーのフードはあまり被らない主義 (髪型が隠れてより一段女に間違われるから)なのだが折角の頼みなので被る。
「・・・・・・ど、どうですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
エルさんもオーカさんも何にも言ってくれない。しかも、俺に背を向けてコソコソと言い合いをはじめる始末。・・・・・・そ、そんなに変かな・・・
「・・・・・・ね、ねえ。オーカ、あれどう思う?」
「・・・・・・あ、ああ。似合うと思ってなんとなく付けた犬耳だったが想像以上の破壊力だ」
「・・・・・・うん、私もそう思う。不意にもドキッとしちゃった」
「・・・・・・そうだな、それにあのもじもじと不安そうな目でこちらを見てくるものなんか母性本能をくすぐる」
「・・・・・・うんうん! なんだか守ってあげたい気持ちになっちゃうよね~」
「・・・・・・・・・・・・どうする?」
「・・・・・・・・・・・・私達だけの秘密ってことでどうかな?」
「・・・・・・乗った!」
チラチラとこっちを見ては話し合う二人。
しばらくして、話し合いが終わったのだろうギュッ!っと力強い握手を交わした二人がこちらに向き直る。
「ヨヤ君そのフードなんだけど・・・」
エルさんが言い難そうに目を逸らせる。・・・やっぱり、似合っていないのだろうか。
それに似合っていないにしても露骨に視線をそらされると心に来るものがあるな。・・・はあー。
「!? ち、違うのヨヤ君! 別に似合ってないって訳じゃなくて・・・あの。その・・・」
「・・・別にいいですよ。気にしてませんから・・・」
顔に出ていたのだろうエルさんが慌てた様子でフォローしようとしている。それでも、フォロー仕切れないと言うことはそんなにひどいのだろうか。
「いやいや、ホントに違うんだ。ただ、似合いすぎてそのカッコを他の奴に見せるのが惜しいってだけだ」
そこに見かねて入ってきたのがオーカさんだ。オーカさんは、やれやれと言った感じでエルさんを一瞥しこのフードに犬耳が付いていることとその耳が俺にマッチしすぎてヤバいなどと散々褒めちぎり最後に私達三人だけの秘密にしたいと言われてオーカさんとエルさんにスクリーンショットまで取られてしまった。
「まあ、とりあえず。オーカさん、防具ありがとうございました」
「どういたしまして。新しい防具なんかが必要になったらうちに来いよ。他の店に行ったら承知いねぇからな」
「当然です。さすがにそんな薄情なことしませんよ」
こんな格安で防具一式作ってくれたのに他の店に行くなんていう度胸は俺にはない。
それにオーカさんは口調こそ荒っぽいがいい人そうだし。
「それじゃあ、また」
「ああ、じゃあな」
そう言って、何故かニヤニヤしているエルさんと桜吹雪亭を後にする。
「それじゃあ、エルさんアクセサリーよろしくお願いします」
「はいはい、わかってるって。とびっきりのアクセサリー作るからどっかで時間潰してきてね~」
「わかりました。それなら、さっき話してた。化石を復元させに行ってきますんで連絡はいつも通りチャットでお願いします」
「あいあい」
俺は、上機嫌のエルさんに採掘したアイテムと【女竜帝の魂】を渡しタルサに向かう。
エルさんの店に行く途中で聞きそびれていた化石の復元ついて話してもらった。
それによると、化石系のアイテムはタルサにある博物館で復元してもらえるとの事。
噴水からワープしてタルサに着いた俺はすぐさま博物館に向かう。博物館はそれなりに大きく大体の方角しか聞いていなかった俺でもなんとか迷わず目的の場所にたどり着けた。
博物館に入ると中には扉が二つと初老のおじいさんがカウンターに座っているだけ。――――まあ、展示物がメインだから受付はこのぐらいでいいのか。
「すいませーん。化石の復元を依頼したいんですけど、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫じゃよ」
俺は、受付のNPCに【何かの化石】を渡し復元を依頼する。
「ほうほう、何かの化石とな。まあ、お主は展示品でも見て時間を潰しておれ。30分程で終わる」
「は、はあ」
NPCのおじいさんは、ぶっきらぼうにそう言って奥の方へ引っ込んでしまう。――――お言葉に甘えて展示品でも見るか・・・。
入った博物館の展示スペースに展示されているものはさまざまな鉱石類だった。下は、石ころから上は、オリハルコンまで約500種類ほどの色鮮やかな鉱石が展示してある。
すかっり見入ってしまった俺は、一通り見るのにきっかり30分使ってしまったので急いで展示スペースから出る。
「・・・・・・」
展示スペースから出た俺を出迎えてくれたのは、難しい顔をしたNPCのおじいさんだった。・・・な、何だろう。そんなに、おかしなアイテムの化石だったのだろうか?
「どうしたんですか?」
「あ、ああ。実はなお主に依頼された化石なのじゃが、復元してみると【ダマスカス鋼】だったんじゃよ」
「へー、そうなんですか。それで、何でそんな難しい顔していたんですか?」
「お、お主。ところで物は相談なのじゃが、この【ダマスカス鋼】をこの博物館に寄贈してはくれんか。 も、もちろんお礼はする。この通りじゃ」
そう言って、頭を下げるおじいさん。・・・・・・言われてみれば、確かに【ダマスカス鋼】なんて名前の鉱石はこの博物館の中には無かった。
まあ、でも自分の見つけた鉱石が博物館にあるって結構いいかもな。――――よし!
「わかりました。【ダマスカス鋼】はこの博物館に寄贈します」
「ほ、ほんとか!? ならばほれ。これがお礼の品じゃ」
『ポーン! 【スキルブックNO.3】、【高級復元セット】、100000Gを獲得しました』
俺は、すぐさまアイテムポーチを確認する。
【スキルブックNO.3】
効果:隠しスキル【復元】が取得できる。
【高級復元キット】
効果:復元を行うための最高級キット。
【復元】
・壊れたものや古くなって正体がわからなくなったものを元の状態に戻す
お礼豪華すぎやないか?・・・・・・博物館に寄贈すると良い事尽くめだな。
『ヨヤ君、アクセサリーできたよー』
そうこうしている内に、エルさんからチャットが来た。俺は、すぐに向かうと伝え博物館を後にしようとする。
「それじゃあ、これで失礼します」
「おお、そうか。ほんとに世話になったの。もう復元には来ないじゃろうが、もう一つの未発見鉱石【ミスリル】が見つかったらまた、寄贈に来てはくれんか? もちろん、お礼はさせてもらう」
この話は、かなりおいしい気がする。だって、お礼ってことは他のスキルブックをくれるってことだろ。それなら、俺に断る理由はない。それに、この博物館の鉱石がすべて揃うのを見てみたいし。
「はい、そのときは、寄贈しに来ますね」
「おお! そうか、それならよろしく頼む」
そう答えて俺はエルさんの露店に向かう。




