第1話
駄文ですが暖かい目で見守ってください。
━━━━《divine gift online》━━━━
通称≪DGO≫。それは、黒天堂社が開発した高性能自立型AI、超高性能なスパコンを惜しげもなくつぎ込んだことでより限りなくリアルに近い仮想現実を実現させた、世界初の戦闘系VRMMOである。プレイヤーはシステムスキルとプレイヤースキルを駆使し、モンスターの出現するフィールドを駆け回りながらレベルを上げて行くとてもシンプルなゲームである。
だが、このゲームには魔法がない、その代わりプレイヤー一人に付き一つ〔divine gift〕という神からの贈り物があり。その、ギフトを駆使することによりさらに、戦術の幅が広がるらしい。友人の話に寄ればだが。
このゲームは、既に3ヶ月前にβテストが終了し、明日の正午から正規版が開始される。
そして俺は今、友人である集の夏休みの課題を終わらせるため図書館にきていた。
「おい、鏡也。こっちの国語終わったから次は数学を貸してくれ」
「ああ、それは別にいいが。どうした? お前がこんなに早く課題を終わらせようなんて」
集とは中学からの付き合いだが、こいつは夏休み最後の一週間になって慌てて泣きついてくるのが毎年の恒例だ。
なのに、今年のこいつは夏休み7日目にしてすべての課題を終わらせるペースでやっている。――――まあ、理由は大体予想がつくけどな。
「お前さ、そんなにゲームがやりたいのか?」
「当たり前だろ! って言うか鏡也もDGOやろうぜ」
「あ、あのー。図書館ではお静かにお願いします」
「あ、はい。すいません」
集の奴が急に大声出すので司書さんに怒こられてしまった。
「別に、やるのはいいが俺は、ソフトもヘッドギアも持って無いから無理だぞ」
「ふっ。そんなお前に朗報だ」
集が俺の解いた数学の問題を書き写しながら不敵に笑う。――――オイ! 話すときは相手の顔を見ろ。
「何だよ朗報って」
「いや、悪いがもうちょっと待ってくれあと少しで課題がすべて終わるんだ」
俺は、長期休暇の課題は夏休みが始まってすぐに終わらせるタイプなので既に課題は終わっている。でもやっぱり、自分ががんばって終わらせたものを横から掻っ攫っていかれるのはさすがにイライラするな。
ちなみに、去年は課題を見せてやる代わりに夏休み終了後一ヶ月の昼飯代をこいつが持つということで課題を貸していたが今年はいいものをくれてやるとしか言われてない。
「・・・・・・よし! これで課題しゅうーりょー! あー疲れた」
「すいません。お静かにお願いします」
集は学習能力が無いだろうかまた大声を出して司書さんに怒られてやがる。
「おい、集。それで、朗報って一体何なんだ?」
「まあ、そう焦りなさんなって。それじゃあ、とりあえず俺の家に行くか」
そう言って、俺たちは図書館から集の自宅に行くことになった。集の家は丁度、図書館を挟んで俺の家とは真逆にあるのだが課題を見せた報酬をもらえるのならそのくらい我慢しよう。
家に着いた俺は集の部屋に行きおとなしく待っている。集は勉強机の上に置いてある袋を持って帰ってきた。
「ほら、これが課題の報酬だ」
なんでこいつは見せてもらった側なのに偉そうなのだろうか? まあいい、そこは俺の広い心で許してやろう。
俺は、ひとまず集から貰った紙袋の中身を確認する。
「・・・・・・はっ!? おい! 集これって・・・」
「ふっ、驚いたか。どうだ、これでお前もDGOをはじめられるぞ」
集から貰った紙袋に中にはVRMMO用のヘッドギア《スフィヤ》とdivine gift onlineのソフトが入っていた。
「でも、集。お前の分はどうするんだよ」
「そんなことは心配するな。ちゃんと自分の分もある。ってか、そうじゃないといくらお前でもさすがにやらんわ」
確かに、そうだろう。こいつにそんな甲斐性があるとは思えんしな。でも、それならどうしてこいつがこれを二つも持っているのだろうか?
「おっ、何で俺がDGOのセットを二つも持ってるのかって顔してるな。実はな、半年前に応募しまくった懸賞が当たったらしくて、この前届いたんだよ。でも、俺は今まで使ってきたやつがあるから使わんし、それならお前にあげた方がいいかと思って。それに、理沙ちゃんや風子さん凛子さんもDGOやるだろうし。」
こいつが言う理沙と言う人物は、俺の一つ下の妹である。俺たちの親は共働きであまり家にいない。なので、俺が料理と掃除、理沙が洗濯その他もろもろと言う分担で夏休みを過ごしていく予定なのである。 あと、風子姉さんと凛子姉さんの双子の姉妹がいるのだがこの二人は今、遠方にある同じ大学に行っているので家にはいない。ちなみにうちの女性人は全員が重度のゲーマーである。最近は、理沙がDGOの事しか喋らないし、たまに電話する風姉さんと凛姉さんも必ずDGOを薦めてくる。しかも、この集を含めて全員がβテスターだ。
「ということで、課題も全部終わったことだしさっさとゲームの機材を持ってって設定してきな」
「ああ、ありがたく貰っておく。だけど、お前らのペースについていく気はないからな」
そう言いつつも楽しみなのは事実だ。やっぱり、身内から猛プッシュされたのでは興味を持たざるおえない。
「あと、そいつはめちゃくちゃ設定時間かかるから帰ったらすぐやれよ。わからなかったら、理沙ちゃんにでも聞け」
「ああ」
こうして俺は、友人に送り出されながらDGOの世界に足を踏み入れるのだった。
2日に1話更新を目指してがんばります。




