表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

愛しいユキちゃん

作者: 神通百力

『好きな人はいるんですか?』

『いませんよぉ。私はみんなのものでーす!!』

 へっ、何がみんなのものでーす! だ。最近のアイドルなんてみんな同じ顔にしか見えないぜ。それに比べて俺のユキちゃんは本当にかわいいぜ、と俺はテレビから室内へと目を向けた。

「ねぇ、わかってるの? 今が一番大事な時なんだからね。しっかりしてよ。気を抜いちゃダメなんだからね」

「……」

「ねぇ、聞いてるの?」

「……ん? あぁ、聞いてるとも。しかし本当にかわいいやつだぜ。愛しいやつだぜ」

 俺はユキちゃんを見つめながら言った。

「今日から私たちは人生の新たな一歩を踏み出すんだよ。だからけっして無駄遣いしないでね。あなたと私はもう、一蓮托生なんだからね」

「あぁ」

 俺は、かわいくて愛しいユキちゃんを一生大事にする、けっして手放さない、と心に誓った。


 

『太陽銀行襲撃事件について新たな情報が入ってきました。今日午後5時頃、月山市の太陽銀行が銀行強盗に襲われ、現金1億円が盗まれた事件ですが、犯人は二人組とみられ、一人は身長180センチ前後、もう一方は160センチ前後とのことです。このことから男女二人組の可能性もあり……』

 俺はテレビを消し、札束に向かってつぶやいた。

「ユキちゃん(福沢諭吉)愛しいユキちゃん……」


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最後でクスッと出来る、 良い作品でした。 [気になる点] あの存在をユキちゃん呼びし、 実際に少女と対話するようなところまでいく、 主人公の精神状態ですね。 [一言] たのしく読ませていた…
[良い点] あわっ! ユキちゃんって お金の事だったのですね!! ユキさんを攫った犯人は 年上好きという事が分かりました♪ [一言] そんなに、ユキちゃんユキちゃん言ってると のんちゃんとか、ひー…
[良い点] これは素晴らしすぎますね。 全く予想もつかないし、オチが見事としか言いようがありません。 やられました。こんなのを思いつくなんて羨ましい限りです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ