竹取物語アナザー
もしもの話
むかしむかし、野山で竹を取るおじいさんがいました。
おじいさんが鉈で竹を伐っていると、一本の竹が光り輝いているのを見つけました。
その光る竹を割ると中から可愛い赤ん坊が現れ、おじいさんはその子を家へと連れ帰りました。
赤ん坊はおじいさんとおばあさんに育てられ大変美しい女性へと成長しました。
しかしおじいさんとおばあさんはとても貧しく、これ以上娘を養う事が出来ません。
仕方なくその娘は女郎屋へと売られてしまいました。
その後、娘は持ち前の美貌から都で一番の花魁として評判となります。
ですが娘は月から迎えが来る事が決まっていました。彼女は月に許婚の王子が居るのです。
そしていよいよ月から使者が迎えに来ました。
ところが使者は娘の様子に怪訝な顔をしました。娘の居た場所が気になったようです。使者は娘に尋ねます。
「もしや、貴方は女郎ですか?」
「はい。そうですが?」
「…残念ですが貴方を月にお連れすることは出来そうにありません。」
使者が言うには、月で待つ王子は極度の処女厨らしく中古品には興味が無いそうです。
使者は娘を置いて月へと帰ってしまいました。
置き去りになった娘は悲しみましたが、後にとある大店の主人に見初められ身請けが決まりました。
娘は何不自由無く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
何が幸せに繋がるか分からないという話。