パンプキンズ・デイ
短編二作目です。
よろしくお願いします。
八月。
容赦なく照りつける太陽の光を浴びながら私はたくさんの仲間たちと共に畑で生まれた。
共に生まれた仲間たちの中でも、一番大きく、色も一番綺麗なのが私の自慢であった。
私達を農家の人たちが収穫し始めた時も、真っ先に八百屋の店頭に出され、そして美味しく食べてもらえるのだろうと私は信じていた。
……だが、現実は違っていた。
私以外の仲間達が次々と八百屋の店頭に並び、客達に買われていくなかで、私だけは店頭にすら並ぶ事無く、薄暗い戸棚の奥に閉じ込められていた。
八月が終わり、九月が過ぎ、十月になっても、私は誰にも食べてもらえずに、一人さびしく戸棚の奥。
きっと忘れられてしまったに違いない。
そう思い、私が深くため息をついたときだった。
ガチャリ。
戸棚が開く音と共に、小さな可愛らしい女の子が顔を覗かせると、花の咲くような笑みを浮かべながら私を抱きあげた。
「この綺麗なカボチャをとっておいてよかった」
そう言って、女の子はよたよたとおぼつかない足取りで、私をリビングまで運び、私を使って愉快な、そして素敵なお面を作ってくれた。
私は知らなかったのだが、その日はハロウィンというお祭りの日で、人間達はカボチャを使ってお面を作り、それを被ってお祝いをするという。
忘れられたわけじゃなかったのか。
私はほっとするとともに、なにか温かいものが胸の中に広がるのを感じていた。
読んでくださり、感謝です。
長編もおそらくあと一月ほどしたら投稿しますのでよかったらよろしくです。