7件 面会③ファミレス編
〈登場人物〉
アイラ
青崎 蒼汰
リーサ・ブラウン
赤木 響
冬の始まりを伝えるように日が短い11月下旬。
3時半過ぎでも頭上の空は薄暗く自動車もライトを付けて走行している。
そんな街の中でアイラは蒼汰にとある質問をする。
「ところでさ~ 本当に今日じゃないとだめなの~?表社会で働く2人に会うの~」
「アイラさんが〈会いたい〉と言ったんじゃないですか。自分の言葉に責任を持ってください」
「そうだけどさー 俺疲れたー」
そう言いながら街の歩行者通路をゆっくりと歩く2人。
しばらく歩いた後見えてきた目的地は、駅のすぐ近くにあるファミレスだった。
残りの2人。
リーサ・ブラウンと赤木響は順番にここで会う予定なのだ。
「最初は赤木響からですね」
「はーい……?」
アイラがよ~く目を凝らしてみてみるとそこにはオドオドと誰かを探す金髪の女性の姿があった。
「武器オタちゃんとスタントマンは時間ずらしたんだよね?」
「はい 赤木はこのあと3時50分から。
ブラウンはその後4時10分からの予定です……いや、でした。の方があっていそうですね」
そう言ってファミレスの前に居た金髪女性に声を掛ける蒼汰。
「すみません リーサ・ブラウンで間違いありませんか?」
すると、女性は大きく頷きながら
「ハイそうです 私の名前を知っているという事は……」
そう言いかけると蒼汰が名刺を渡しながら伝えた。
「御木警察署犯罪対策課の青崎です。
ところで、ブラウンさん。あなたは確か4時10分からの予定でしたよね?
なぜこんなに早く……」
そう名刺入れをしまいながら聞く蒼汰にリーサは申し訳なさそうに伝えた。
「家にいると、ついつい時間を忘れて武器に見入ってしまうので、先に来たまでなのですが」
「へぇ~ ザ・武器オタクって感じだね~」
会話をする蒼汰とリーサの間に入ってくるアイラ。その姿に驚いたリーサは蒼汰に質問する。
「青崎さん。この方は……?」
「彼は今回この面会を所望した本人。アイラさんです」
「アイラでーす」
そう言って笑顔を向けるアイラに対してリーサも笑いながら
「物凄くユニークな方ですね。リーサ・ブラウンと申します。よろしくおねがいします」
と自己紹介をした。そんな平和な空間が続いた後、アイラはとある提案をする。
「せっかくだったらさ、武器オタクちゃんとスタントマン。同時に面会しない?」
そう言うと蒼汰は少し眉を寄せた後、溜息をついて答えた。
「正直ブラウンさんには申し訳ないのですが、
犯罪者同士を同じタイミングで面会させるのは良くないと言われているのです……が、
アイラさんもお疲れの事を加味して今回だけ特例で行いましょう」
許可を下ろしたのだった。
すると、アイラは笑顔で〈ありがとう~〉と言った後、蒼汰がファミレスの扉を開ける。
店員が厨房と思われる場所から、
「いらっしゃいませーお好きな席へお座りくださーい」
と声を掛けていた。
時間帯がもう夕飯時だからか厨房からはバタバタと足音が聞こえてくる。
その言葉通りに蒼汰は辺りをキョロキョロと見た後、とある場所へと歩き出した。
「赤木さんですね。お待たせしました」
そう声を掛ける蒼汰の後ろからヒョコッと頭を出して赤木と呼ばれる人物を見つめるアイラとリーサ。
声を掛けられた赤木響は顔を向けた後スッと立ち上がってゆっくりと頭を下げた。
そのまま何もしゃべらずにリーサと目を合わせた後〈どうぞ〉と言いながらリーサを奥に座らせて自分も座った。
蒼汰とアイラもその向かいに座って蒼汰が奥に座った。
無言の中。
話を切り出したのはやはりアイラ……ではなくリーサだった。
「――ところで、この面会は何の面会なんですか?」
その質問にアイラは答えた。
「この面会は俺のチームに入らないかっていう勧誘の為の面会なんだ~
まず質問なんだけど、2人とも、裏社会ってよく行ったりする?」
その唐突な質問に最初は固まっていた2人だったが、すぐに話し始めた。
「私はアメリカに居た頃は武器を売りに行く時と制作の材料を買いに行くときだけぐらい。
この御木市に来てからはまだ裏には顔を出していないね~」
「ウチも最近は裏には行っていないです……」
そう答える2人の顔をジーッと見つめるアイラ。
リーサは不思議そうな顔をしているのに対して、響は暗い顔でうつむいているのだ。
その違いに気づいたアイラは響に質問をする。
「ところでさ、スタントマンの人は女の人?
別に男女差別したいわけじゃなくってただ呼び方をどうしようかなって迷っててさ」
そう質問をすると、響はまた下を向いたまま
「女です……」
「そっか。そういえばスタントマンちゃんは赤色好きなの?」
「え?」
その言葉に顔を上げる響。
アイラは笑顔で
「いや。毛先の赤色がきれいだなって思ってさ~俺もやってみたいんだよね~『カラー』だっけ?」
その言葉に対して響が口を開いて質問を投げかける。
「逆に……そのきれいな銀髪は地毛なんですか?」
先程とは段違いな生き生きとした声に蒼汰は驚きの表情をアイラに向けた。
(アイラさんに『彼女は赤色が好きで特に髪色を変えるのが好き』と伝えた覚えはないんだが、
この状況でそれを理解したのか……アイラさんはどこでこんな技術を……)
そう思っているといつの間にか響の顔は笑っておりリーサを含めて楽しそうに話していた。
会話がひと段落したところでアイラは本題を再開して話し始めた。
「じゃあ本題に戻すんだけどさ。どう?俺と他男女3人と一緒に生活してみない?」
その質問に2人は顔を見合わせた後、リーサから
「私入る。そのチームの前線で戦えるか不安なところもあるけど、後衛だったら得意だから!」
「ウチも入ります。ぜひ犯罪者同士楽しくやっていきたいですから」
その言葉にホッと安堵する蒼汰。
その横でガサゴソと蒼汰のカバンを勝手に漁るアイラ。
その後、とある契約書にサインをしてもらった後リーサと響は帰っていったのだった。
2人をファミレス前で見送った蒼汰とアイラ。
蒼汰は改めてアイラに質問をする。
「本当に……本当に全員を入れるんですね」
と聞くと、アイラは体の後ろで手を組んだまま夜空を見上げて話した。
「犯罪者って死んだらどこ行くか知ってる?」
たまには気になるところで終わらせるのもありかな?
と思いながら書きました。
読者の皆さんには申し訳なく思っております。
スミマセン…(´・・`)
今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ




