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裏路地  作者: 珠雷
6/9

6件 面会②脱獄編

〈登場人物〉

アイラ

青崎あおざき 蒼汰そうた

橋本はしもと げん

アイラが話を終えてから暗闇を歩いて行くと、少しずつ階段の近くで待っていた蒼汰の姿が見えてきた。だがその横にはもう一つの人影があった。

近づくと、それは警察官で制服を身にまとっていた。


数秒間話した後、警官は敬礼をしてから階段を駆け下りていった。

蒼汰は前髪を左手で上にあげて肩を落とした。

その後アイラに気づくと、手を振ってアイラを呼び寄せた。

アイラも小走りに近づき、状況を聞いた。


「溜息はいつもの事だけど、頭抱えるのは珍しいね なんかあったの?」

「はい……それが、先程。橋本が脱獄したようで」


そう言うと、アイラは笑顔で


「ハッカーって運動得意なイメージ無いのに~すごいねぇ ますます俺のチームに欲しいよ」


蒼汰は溜息をついた後階段を駆け下り始めた。

その後ろをアイラも続いて降りた。


「ところでさ。どうやってハッカー君は脱獄したの?あの電気網は俺でも登ろうとは思えないけど」


そう聞くと、蒼汰はスーツのポケットに入れていたスマホからとある動画をアイラに向ける。

その画面を覗き込むと、その映像は白黒で右下には日時が刻まれていた。

そこから、防犯カメラだと考えたアイラは動画を見続ける。

まず最初に、男性らしき人物がその部屋に入ってきて一台のパソコンの前に座る。

すると、パソコンを起動させてから物凄い速さでタイピングをした後ゆっくりとその場を後にしたのだ。


15秒ほどの動画が終わった後、蒼汰が補足として教える。


「先程お見せしたのは、電気管理室の防犯カメラの映像です。

そして、その部屋に橋本と思われる人物が入り込み一瞬にして電気プログラムを書き換えて通電を停めてしまったとの事です」

「へぇ~凄いね じゃあさっさと逃げられる前に追わないとだね」

「はい 急ぎましょう」


そう言って2人は警察署を出てから他の警察と一緒に捜索を行うことになった。

A班は蒼汰が指揮を執ることに、B班はアイラが中心に動く形になった。

蒼汰は同じ警察であるためか他の警察官からの信頼も厚くすぐに的確な指示を出したが、

アイラの班は…


「ん~…みんなどっか行っちゃったな~」


犯罪者という事もあってか誰もアイラについて行かず、いつの間にかアイラは1人になっていたのだ。

そんなことで拗ねるはずもなく、アイラは前向きにアイラなりの作戦を立てた。


「たしか。この道は※CCTVが無かったから。

それをしっかりと理解しているハッカーだったらきっと、この道を通る」

「!?」


アイラが1歩進んだ脇道には確かにフードを深くかぶった防犯カメラに似た男が立っていたのだ。

その男が後ずさりするため、アイラはさっそく話を始めた。


「聞いて。俺はハッカー君の敵じゃない。君と同じ犯罪者だ。だから逃げずに俺の話を聞いて」


そう言うと、ハッカーは腰を低くしながらゆっくりと頷いた。

それを確認したアイラは話を再開する


「ありがとう。じゃあ本題。今日のところは1回。警察に捕まってくれないかな?」

「はぁ!?」


男は思わず声を上げる。その声を聴いたアイラは言葉を掛ける。


「まぁ聞いて。

俺は今、色々な裏社会にかかわっている人間で俺が気に入った人たちを俺のチームに勧誘してるんだ。

その為には俺と契約をしてもらわないとだけど……

それをすれば、外で君は自分の為に自分のハッキング力を生かしてもらって構わない。

とにかく、俺は君の力が欲しいんだ」


そう伝え終わると、そいつは笑い声をあげた


「ふはぁ。ハハハ!そんな不確かな事のために僕はゲンの名に泥を塗らなきゃなんないなんて……

絶対お断りだね!」

「まぁ確かに信じられないと思うけd」

「それとさ」


アイラの話を遮ってゲンと名乗る男は話を続ける。


「その声。僕聞いたことあるよ。君。『元・裏のキング』でしょ。

裏社会の名家に生まれて殺されたはずの次男。そんな人がなんでいきなり一匹狼をやめて

チームを組もうって?冗談じゃないね」


そう言って走り去ろうとしたその時。

ゲンの体は固まった。

金縛りのように、固まった。


その理由は、ただ一つ。

アイラの圧だ。と言っても、

アイラは物凄い速さでゲンに距離を詰めて首元を指で持たれていたのだ。


「!!」

「――ッ」


アイラはただただ無言で首を持っていた。

その顔は……陰でよく見えない。

その後、いきなり我に返ったかのように首から手を離したアイラ


「あ。ごめんごめん、ちょっとだけ頭に血が上っちゃった~許してね」

「ゴホッ、ゴホ」


咳こむゲン。

日光の光が入ってくる建物同士の間。

そこに蒼汰たちのA班が入ってきたのだ。


「アイラさん!」

「おぉ~蒼汰~ ほら噂のハッカー君見つけたよ~」


そう言って、ゲンを指さしながら笑顔で話を続けた。


「ねぇ蒼汰ー俺疲れたー」

「それは私達も同じです。取り合えず橋本を刑務所に戻しましょう」

(なんで、橋本、ゲッソリしてるんだ?)


蒼汰は手錠を取り出してゲンに取り付けた。

そのまま、他の警察に受け渡して残されたのは蒼汰とアイラの2人となった。

その時、珍しく蒼汰から話を切り出した。


「そう言えば刑務所に居た連中に勧誘は成功しましたか?」

「ん~? えっとね、あのハッカー君以外は上手くいったよ~」

「橋本となんかあったんですか?」


そう蒼汰が聞くと、アイラは一瞬暗い顔をした後すぐに笑顔になってから


「ちょっとだけね~」


それだけ答えたのだった。

夕日が眩しくなる3時半。

笑顔のアイラと溜息顔の蒼汰を斜めに傾いた陽の光が少し強めに包んだ。

※CCTVとは防犯カメラの略語で正式名称の頭文字4つから取られた言葉だそうです

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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