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裏路地  作者: 珠雷
2/9

2件 おもしろい

〈登場人物〉

アイラ

青崎あおざき 蒼汰そうた

謎の女

アイラは家へと帰ると早速ソファに座りスーツケースを見つめる。


「・・・あーあ。やっぱりね~」


スーツケースを舐め回すように見ていたアイラはケースの底の方にとある物を見つける。

それは、とても小さくつくられており、窓から差し込む月明かりで輝いて見えた。


「何度もされてきたんだし俺が分からない訳ないじゃん」


その小さな機会を引っぺがして窓の外へとポイっと放り投げる。


――一方警察署では――


「更なる動きを確認いたしました!」

「あそこが基地では無かったのか、見続けていてよかった」


――アイラ――


そう。

あのカバンについていたのはGPSだったのだ。

それが、通行人の服に着いたことによって警察が誤解をしたのだった。

そして、またソファに座り次こそ中身を見始めた。


「へ~またおもしろいのを揃えるねー…だけど」


そして、アイラはパッと外に出て近くにあった公衆電話の中に入った。

夜中という事もありこの時間帯は通行人の数もだんと減る。

そして、渡された電話番号に連絡しコールを待つ。

壁にもたれかかり鼻歌を歌いながら電話を待つと電話口から蒼汰の声が聞こえてきた。


「青崎です。決まりましたか?」

「いや~まだまだ決まってないんだけどさぁ~情報。少なすぎない?」


そう言って1枚だけ持ってきた紙を裏表見ながらそう言った。

たしかに、そこに書いてあったのは


・名前

・年齢

・得意武器

・犯罪歴


だけと、とても質素なものだった。


「これじゃあ。バイトの面接以上に情報ないじゃん。志望理由とか書いてくれても良かったのに」

「それじゃあ、ただの履歴書じゃないですか」


そうツッコンだ。

そして、電話口の蒼汰は溜息を分かりやすくついた後、1つ質問をする。


「私も〈早く決めさせろ〉と上からの圧が凄いんです。

なので、もう1度直接お会いしましょう。その時に口頭で他の情報もお渡しいたします」

「俺はいっつも暇だよ~そっちは?」


電話口では〈少し待ってください〉と言ってペラペラとページを捲る音がかすかに聞こえてきた。

そんな音に耳を傾けていた時。蒼汰が返答する。


「こちらは、朝礼に出席した後でよければ…って友達感覚でよく話せますね」

「ん?普通じゃない?」

「・・・あなたとは、感覚が合いそうにありませんね」

「えーそうかなー?」


悲しそうな声を出すアイラに蒼汰は無視をして話を続ける。


「じゃあ、明日9時からでよろしいですか?」


そう聞くと、アイラは切り替えを素早くして明るい声で


「は~い。じゃあまた明日~」


そう言って受話器を戻した。

そして、ポケットからライターとダイナマイトを取り出すと、公衆電話の中に入れて丁寧に扉を閉めた後歩きながら先程の場所へと戻っていった。

   

   ≪バンッ!≫


と夜中には似合わない大きな爆発音のあと笑顔で走っていった。

その姿はまるで無邪気な子供のようだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そして、軽くソファで眠ること30分。

腕時計を見つめて体を起こす。


「そろそろ行こうかな~」


そうして、その場所を後にしてまた別の空き家へと移動した。

先程まで居た場所や今新しく来た場所はアイラの基地の1つに過ぎず、基本1日中そこにいるという事は無いのだ。

これは、自分の身を守るときに手に入れた技術の1つだった。

そうして、その場所にもソファがあり、そこで眠りについた。


次に目を覚まし、腕時計を見ると針は8時を表していた。


「寝た時間が2時だからぁ…よし6時間睡眠だ~」


そうして、伸びをするとソファから起き上がり洗面台に向かった。

勿論空き家という事もあり水道は出ない。

だがここで行うルーティーンはとてもアイラには大切なのだ。

それは、

『割れた洗面台の鏡を見つめて口角を上げる』

というものだ。


「はは」


笑い方は昨日の夜とは違いとても、感情が死んでいるように感じ取れた。


「はぁ。・・・朝は苦手だぁ」


そう言って頭を掻きながら、スーツケースを持ち、基地から出たのだった。

外は既に明るく、あちらこちらで取引や受け渡しが堂々と行われていた。

その道路の中央をまた堂々と歩くアイラ。

その姿に誰もが1度は目を向けるがすぐに目を外してしまう。


そうこうしていると、この街には似合わない小奇麗なカフェの前に辿り着いた。

ここが、今日の待ち合わせ場所だ。


そうして、店に入ろうとしていると、右側から目線を感じた。

ゆっくりと右を目だけで見つめるアイラ。

その先には1人の女性が立っていた。

女性は飴を口に咥え、帽子を被った状態でカフェの看板を見つめている。


「また凄いのが建ったね」

「・・・そーだね」


女性から視線は感じたものの敵意を感じられなかったアイラはそのまま話に乗っかった。


「あんたもここ入んの?」

「うん。今日は待ち合わせがあってね」

「へー。じゃああたしは先に入っちゃうね~」


『始めまして』のはずなのにとてもフレンドリーだった女性。

入口の鈴の音とともに、また右から聞きなれた男の声がした。


「お待たせしました」


やはりそこには、蒼汰の姿があった。次は蒼汰に体と笑顔を向けた。


「いやぁ。おもしろい人と会ってたからそこまで退屈してなかったよ。さ。中で話そ」


そうして、アイラと蒼汰も中に入った。

中もしっかりとしていてそんな内装をグルっと楽しそうに見ているアイラを不思議に思った蒼汰は質問をする。


「普段。表社会で有名な御木の方には出ないんですか?」


そう聞くと、風景を見ながらアイラは話す。


「俺。表にはあんまり出ないんだよ。しかも、こういう店とか初めてだし。意外と楽しいね」

「・・・」


蒼汰はどこか切ない眼差しでアイラを見つめる。

その目には敵意も視線も感じられなかった。

アイラの感じ取れなかった感情。

それは哀れな子供を見る目だったのだ。


(こんなにも、色々な事を見透かしていそうなのに…自分の事は自分から話さないくせに…たまに見せる姿はまるで子供だな)

アイラは目線にも敏感でした

さすがは元・裏のキン(((((殴  アイラ様ですね!

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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