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裏路地  作者: 珠雷
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1件 元・裏のキング

〈登場人物〉

アイラ

青崎あおざき 蒼汰そうた

ヤクザA

ヤクザB

永名市ながなし笹岡市ささおかしの間に位置している御木市おんきし

ここは、永名市の隣。花弁市と同じほど栄えており、国内でも有名なスポットが充実している。


だが、それも表向き。

裏の路地に回ればそこには、未成年が深夜には溜まっており警察が手を焼いている。

それでも、警察が動くのはここまで。

その裏路地のさらに奥、裏の裏路地では警察の介入も余程のことがなければ無い場所だ。

そこには、ヤクザやマフィアが占領している裏社会でも有名な場所だ。

そこの街を牛耳っているのは、とある一族だった。


――立ち食い店にて――


若いヤクザ2人組が注文をして席に着こうとした時、1人の男と肩がぶつかった。


「おい。どこ見て歩いてんだ!」

「・・・」

「おい!お前コッチ来い」


そして、相方はもう一方の相方の服を掴み店の端へと移動した。

ぶつかった相手はその近くの席に座りスマホを見つめている。

気に入らなそうに睨む1人。そいつに向かって話し始める相方。


「お前。アイツの事しらねぇのか!?」


小声で話すヤクザに対して首を傾げながら聞き返す。


「ハァ?あんなヒョロガリの話なんざ聞いたこともねえよ」

「お前な~」

「へいお待ち」


店員が商品を運び、2人は割り箸でラーメンをすする。

その間に、話を続ける1人。


「まずまず、お前はこの裏街の頭って誰だか知ってんのかよ?」

「え?百鬼なぎり家じゃねぇの?」

「まぁ半分正解。あの百鬼家って内部抗争が一回起きたのは知ってるよな」


そう言って、相方もラーメンをすすると、餃子を食べながら聞いた


「あぁ知ってるよ。確か、家を嫁ぐときに長男を主にするか次男を主にするかで起きた抗争だよな」

「おう。その結果、長男と次男での殺し合いで決着がついて、結果。長男が体格の差で勝って、次男はそのまま死んじまったって言われてるんだけど、最近。百鬼の連中がみんな口を揃えてとある夢を見たってんだ」

「?」


1人が首を傾げると、もう片方はニヒッと笑ってより一層小さな声で話す。


「死んだはずの次男が夢に出たって。1日に1人は必ずその夢を見るらしい。それで、次男を探した百鬼の連中が見つけたんだ。本当に次男は生きてたんだ」


そう言って、さっきの男を指さした。

その行動にハッとしたヤクザは男をジッと見つめた後、相方の方を向き震えた声で聞いた。


「も、しかして…あれが、その…次男なのか」

「あぁ」


そうして、話を続ける。


「百鬼家の長男と次男の親は、父親が百鬼の血。母親が海外ギャングの娘っていう凄い血の持ち主だ。

でも、その血は均等には行かなかった。


長男は、海外ならではの高身長と筋肉質な体に恵まれたが、容量が悪かった。

それに対して、

次男は日本の血をよく持っていたがヒョロッとした弱弱しい体になってしまったが、とても物覚えがよく、頭の切れる奴だったって話だ」

「ところで、さっきから家の名前は出してるのに、名前を出さねぇな。なんでだ?」

「・・・本名は誰も知らない。家の中の連中ですらしらねぇそうだ。父親が本人にだけ教えたらしい」


数秒の沈黙の後、ヤクザが口を開けた。


「でも、裏街ではこう呼ばれてる。『元・裏のキング』ってな」

「やべぇ…聞かなきゃよかった気がする」


すると、相方はフッと笑ってレジに向かった。それを見たもう1人も慌ててついて行く。


「あーゆーのは絡まない方がいいに決まってる。嫌だったら変に首を入れない方が身のためだぞ」


そう、忠告するともう1人はブンブンと首を縦に振ったのだった。


――店の中――


噂の百鬼の次男。元・裏のキングはとある人物を待っていた。


「・・・」

「遅くなりました」


そこに現れたのは、帽子を深々と被ったスーツ姿の男だった。

元・裏のキングはギロッとその男を見つめると、一瞬にして笑顔で話し始めた。


「いやぁ~待ってたよ~」


場に合わない高く明るい声が店内に響く。

誰もが睨もうとするが彼らはすぐに目を背けた。

そりゃあそうだ。

元々街を牛耳っていた一族の1人だ。

誰も、つるもうとしない。

そんな周りを見つめながら、スーツの男は話し始める。


「確かに、身の危険はなさそうですね」

「そうでしょう~」


スーツの男は〈一応〉と言って、胸ポケットから長方形の物を取り出す。


「念のためもう一度自己紹介を。

わたくし御木警察署の組織犯罪対策課の青崎あおざき 蒼汰そうたです。

本日は、あなたとの契約の手続きと書類をお渡しさせていただきます」

「まぁまぁ。録音してて緊張するだろうけど落ち着いて~」

(いつの間に俺が録音していることを知って!?)


蒼汰と名乗る警察は少し後ずさりしたが、すぐに立ち直し深呼吸をした。


「では、こちらの同意書のご確認をお願いいたします」


元・裏のキングは蒼汰からホチキス止めのされた書類の束を受け取った。

左上には『極秘』というハンコが押されており、その右下に黒い文字で『契約書』と書かれていた。


その内容は、

1、百鬼家にこの人物たちを取り入れない

2、この人物たちの生死はそちらに委ねる

3、この契約をそちらが無断破棄した場合は署に連行する

4、この契約は警視庁の方から無かったことにすることもある


などなど、3枚分の契約内容はとても多かったが、元・裏のキングはそれを隅々まで読んだ。

そして、最後まで読むと自分の内ポケットからペンを取り出し、サインと書かれた欄にペンの先を当てそうになった時、蒼汰が話す。


「今回は特例で、偽名でもサインは許されています。ですが、しばらくはその名前でこの社会では通して貰う事になりますが…どちらにするかは貴方に委ねられています」

「フーン…じゃあお言葉に甘えて偽名にさせてもらうよ。どうしようかな~」


そう言って、ペンをクルクルと回す。

蒼汰はパッと聞いた。


「元・裏のキングじゃダメなんですか」


それを言った瞬間、そいつの目つきはガラッと変わった。さっきまで、おっとりとしたオーラだったはずが一瞬にして肉食動物のようになってしまった。


「すみません」


そう平謝りをする蒼太から目を外しペン元に目を落とした。

そして、ニヒッと笑って、ササッと書いたその名前は…


「アイラ。か。何か参考にしたものでもあるんですか?」


そう蒼汰が聞くと、そいつは笑顔で


「いや。ただただ。この響きが好きなだけ」


そう言ったのだった。そして、契約の内容である。とある人物たちの情報が入ったスーツケースを蒼汰から渡された。


「こちらが、契約内容の人物たちです。決まりましたら、ここまでご連絡お待ちしています」

「はーい」


すると、蒼汰はアイラに一礼した後、サッとラーメン屋から姿を消した。

そして、アイラはレジに金額ピッタリを投げ入れ、アイラも自分の家へと帰っていったのだった。

1話目にして2600文字以上になってしまいました…

ですが、中々書かないジャンルなので楽しんで頂ければと思います

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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