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億の金を欲しくないか?→底辺ギャンブラーの挑戦  作者: 弁財天睦月
「ジャンケン」

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73/201

3-2

そんな牧村をバイタリティのある人だなぁと思っていた。

今の鉄野郎には目標とすることが転職でしかない。

自分が経営者になるという発想そのものもない。

すごいなとは思っても羨ましいとまでは思ってなかった。


「そうですか•••牧村さん、辞めちゃうんですか。

残念です」


今は勤務中だが特に私語禁止ってわけじゃない。

それどころか暇な時間もあってよく話はしている。

つい先ほど牧村から退職の話を聞かされた。


「まぁ、こればっかりは仕方ないないかなぁ•••」


奥さんの父親が倒れた。

手足の痺れがあるんだそうだ。

神経痛ってことか?

母親も具合が良くないらしい。

それで父親のあとを継ぐ形で愛知県名古屋市に家族そろって引越すことになった。

跡継ぎっていってもアパート経営ということだ。

アパートを3棟持っていてその管理になる。

わりと忙しいらしい。

でもほとんどが両親の介護だよと笑っている。


その姿に鉄野郎の感情は揺れる。

寂しいとかとは違って、取り残されてしまったかのような孤独感だ。

周りの人々はどんどん新しい世界に移っていってる。

なんにもない自分なら10年経っても20年経ってもこのままかもしれない。

焦りにも似た感情までもが湧き上がってきてる。


「それで来週いっぱいまでですか。

寂しくなります」


「久遠くんはどうするの?

今は独り身だから生活できてるかもしれんが、これから家族ができたらここの給料じゃ養っていけないんじゃないか?」


そう思われていたことがわかった。

つまり牧村の目から見て久遠鉄野郎は普通の社会人であるように思われていたんだ。

まぁ、職場ではギャンブルの話なんかしたこともないから道をはずれてしまったギャンブル狂だということは知られてない。

仕事はそつなくそれなりにやってるからだろう。


鉄野郎は、また考えこんでしまった。

現状から大きく飛躍できる手段、ひとつだけある。

やってみる価値は大いにあると思えるようになってきた。

なんだかよくわからない感情に突き動かされたのか、シーブレスへの返答は参加ということにした。




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