2-2
10時から打ち始めて12時半には終了。
当たりはあった。
通常当たりが2回。
現金を500円残して終わり。
サラ金ATMコース確定。
限度額までの15,000円を手にして終わり。
定吉も負けで合流した。
ただ定吉には金銭的にはまだまだ余裕があるみたいだ。
借金はあるらしいが3桁にまではいってないようだ。
「ダメだな。
回るんだけど当たらない。
なんか、台っていうか店を疑いたくなるよな」
定吉が言ってることもわかる。
確率の数字どころか3倍を超えるハマりをくらったら誰でもそう思ってしまう。
それが開店からだから、0回転から千回以上の回転数で当たりなしって。
「違法ロムか遠隔操作かって?
それはないと思うけど•••
そんなの警察にでもバレたら一発で営業停止。
それはないだろう。
まぁ、それよりも腹減った。
メシにしようぜ」
鉄野郎は切り替えが早い。
こうでもなければギャンブルなんかやってられないだろう。
そういった意味では典型的なギャンブラーとしての素質がある。
ただし負けギャンブラーだけど。
高円寺といえば、金がない時なんかに利用する店が何店かある。
ボリュームがあって美味くて安くなければならない。
それで今日は昔から高円寺にあるらしいハンバーグの店だ。
ニューバーグといえば知る人ぞ知るだ。
店内は変形のカウンター席しかなくて狭い。
この2人が頼むのはいつもサービスセット。
ハンバーグがあって揚げ物や目玉焼きとかいろいろついている。
これにライスとみそ汁がつく。
昼休みの時間が終わってるので待つことなく座れた。
2人が黙々と食べてる隣の席に「よぉ、いたか、おまえら」とドカッと腰を降ろしたおっさん。
2人の顔なじみだ。
顔を見ればわかるが、2人よりはひと回りは年上だろう。
同じようなパチンカスでギャンブル大好きなおっさん。
2人は北川のおっちゃんと呼んでいる。
フルネームは知らない。
ちょっとした雑談はあった。
2人が食べ終わって出ようとした時だ。
北川のおっちゃんから面白い話があると唐突に告げられた。
「おもろい話やでぇ。
他ではありえん話や。
聞きたくないか?」
鉄野郎と定吉は互いに目を合わせた。
口を開いたのは定吉だ。