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タブレットで残高を確認。
1,240万円だ。
いける、この勢いで最終ゴールまでいけば借金返済できる。
この強制労働からも脱出できて新生活を始めることができる。
そしてまともに働く。
もうギャンブルはやらない。
だから神様、仏様、え〜っと、あとは誰だ?
まぁ、いいや、とにかく勝たせてくれえぇぇ。
ルーレットで次に進むべき数字が出た。
3だ。
鉄野郎の足取りは軽い。
調子良く勝っているからだ。
不安も確かにあるがとにかく勝ち続けているので体は軽やかだ。
期待と不安でモニターを見るとまたもやコントローラーがある。
画面にはレーシングゲームとタイトルが出ている。
なにかなと説明を食い入るように読んでいく。
6台のマシンでのレースで1着でゴールできたら賞金30万円。
要は1着になりさえすれば勝てるということなんだが、単純な普通のゲームであるはずがない。
なにかしらの仕掛けが施されてるはず。
そして本レースの前に練習ができるようになっている。
どんなコースかも知っておきたいので練習は絶対にやっておくことにする。
コントローラーを手にして準備完了。
モニターの下にはタブレットを置けるようにマガジンラックのような専用スペースがある。
シーブレスのやることはなにもかもが細かく目が行き届いている。
日本人スタッフが多いのも関係してるんだろう。
金があるからできるんだと思う。
不況であってもギャンブルには大きな影響を受けないんだろう。
特にシーブレスなんて元々は世界の富裕層が中心なので安定した収益がある。
練習なので全コースを走るものではなかった。
それでも前方から突然に障害物が飛んできたり、タイアが沈んでスピードが出なくなる沼地のコースなどがあることがわかった。
進行を妨害する多くのトラップが仕掛けられている。
そう簡単には1着にされてくれないってことらしい。
数分間の練習が終わった。
あれ、画面が変わった。
特別なお知らせという文字が現れた。
読んでみたければイエスを、すぐにでも本レースに進みたければノーをタッチしてくださいとある。
気になるのでイエスに触れる。
すると今度は「あなただけへの今回限りのスペシャルなエンジンの提供」と出てきた。
なんだ、なんか怪しい商品で見かけるような誘い文句が現れた。
それでも、なになにと続けて読んでみた。




