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体育館というか大型の倉庫のような建物の入口にたどり着いた。
なんの看板も飾りもない殺風景なただのドア。
そんななんの変哲もない古びたドアの両横にスーツ姿の男が2人立っている。
この光景は妙だ。
下田リーダーが右側に立っている男に話しかける。
顔なじみである。
最高荘で暮らす住人は特に招待状がなくても入場できるようだ。
新入りの鉄野郎の紹介だけを簡単に行っただけだった。
入ってみて驚いた。
予想を超える人数だ。
外観はかなりふる〜い建物なんだが中に入ってみると豪華なパチンコ屋じゃないか。
そう、中で行われているギャンブルはパチンコ。
でも見たことがない台ばかり。
「あの、下田リーダー、これって?」
「あぁ、これか•••
これってな•••」
下田リーダーから簡単に説明してもらった。
この場所は毎月末の土曜日と日曜日にだけ開かれる裏のギャンブル場「レインボール」
普通のパチンコ店なら銀玉を使っているが、ここでは7色の玉を使ってるのでそう呼ばれている。
玉1個にだって妙なこだわりを見せている。
それこそが世界最大の裏ギャンブル「シーブレス」だ。
一般的なパチンコ店なら4円で玉を貸して4円で払い戻しをする。
東京都内では4円で貸して3•6円ほどで払い戻しが行われている。
これが等価交換というマックスの金額での取り引きになる。
他には店によって2円だったり1円だったり取り引きレートが変わってたりする。
このレインボールでのレートは1玉10円から。
通常のパチンコ店なら125個単位で貸りることになるのだが、ここでは100個単位になる。
100個を貸りてちょうど千円。
10円が最低レートで20円、30円と3種類のレートがある。
もちろん等価交換だ。
気になるパチンコ台は見たことがないものばかりだ。
試作品や遊びで作られたものとかでいろいろだ。
そういった世に出ることがない台を集めてこのギャンブル場が作られている。
こういったパチンコ台を使ったギャンブル場は全国でも埼玉県朝霞市のこの場所しかない。
設置台数はそれほど多くない。
試作品なんかは1台しか存在しなかったりで全部で62台。
招待状もその台数を考慮して出されている。
こんなハイリスク、ハイリターンなのに人が集まってくる。
世の中には、ほんっとおぉにギャンブルが好きな人っている。
ギャンブルのためならどこからともなく金の工面をして遠方からでもやって来る。




