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「ざっとこんな感じだ。
やるやらないはまかせるが、こんな話ってそうそうはない。
一発逆転を狙うならこれしかないんじゃないか?
労せず最短で借金を返せて金を残せるのは•••」
北川のおっちゃんの目が怪しく誘ってるようだ。
どうにも胡散臭い話だと思いつつ魅かれてもいる。
怪しいとは思っちゃあいるが興味もある。
これこそが底辺ギャンブラーのどうしようもないところだ。
だから鉄野郎はクズ鉄なんてあだ名をつけられるまでになってしまったんだ。
当の本人はあまり気にしてないようだが。
「おっちゃん、これってどこから聞いた話?」
定吉が言ってくれた。
鉄野郎も気になっていた。
「これはな、シーブレスの勧誘員からや。
突然に電話があって、いい話があるからって新宿で待ち合わせて聞かされた話になる」
「なんだって?
その勧誘員ってのがおっちゃんに電話?
そもそも、なんでおっちゃんの電話番号知ってるんだ?」
「そりゃ簡単な話だ。
中国柘榴銀行傘下にサラ金があるだろ。
日本でだけ展開してるクイックだ。
そこにも借金があるんだよ。
調べりゃわかるじゃないか。
俺が全部でいくら借金があるかって。
そうやってリストを作ってるんじゃないのか?
喉から手が出るほど金を欲しがってるヤツのさ」
なるほどね。
経緯はわかった。
わかったがここで即答ってわけにはねぇ。
「1回持ち帰らせてよ。
せっかくの話なんだけど•••」
「まぁ、そうだよな。
突然こんな話を聞かされたたってなぁ•••
わかるわぁ、それは。
じゃ、どっちにしろ参加するかしないかに関わらず連絡してくれ。
これ、俺の電話番号」
北川のおっちゃんがスマホを差し出した。
鉄野郎がその番号を自分のスマホに登録しておく。
メインの話が終わった後は底辺ギャンブラーらしく負け自慢とオカルトな必勝法のうんちく話。
酒も入ってないわりには饒舌だった。
それだけギャンブルが好きだってことだ。




