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契約の後

 支払いと奴隷紋の刻印を終えたシーキルはそのまま部屋を出ていった。

 部屋に残ったのは俺とリリアとルルア、レヴィアナ、そしてセリーナだ。


 セリーナはシーキルが部屋を出ていったのを確認すると蒼色の瞳を露わにし、先ほどまでシーキルが座っていた対面のソファーに腰を下ろした。

 その傲慢な態度に魔力を解放し、対面に座るセリーナに圧をかける。

 

 「随分と傲慢だな。殺されたいのか?」


 常人であれば精神が狂ってもおかしくは無い強さの圧を受けて尚、セリーナは涼しげな表情のままである。

 それどころかその顔には絶対とも言える自信が宿っており、まるで俺の考えがわかっているかのようだ。


 いや、わかっているのだろう。 

 わかっているからこそ彼女はこうした態度をとっている。


 魔力を抑え、浮かせていた背中をソファーに預ける。


 「さすが吸血鬼の王と言ったところか。今の圧を受けて表情一つ変えないとはな」

 「お褒めいただき光栄ですご主人様」


 ここまで一言も話さなかったセリーナが口を開いた。

 その口調は思っていたよりも丁寧なものであり、吸血鬼の王という印象は受けない。

 俺のことをはじめからご主人様と呼んだことも相まって余計に王という印象が薄くなる。


 「それにしても、お前の態度と表情を見るに、俺の考えがわかっていそうだな?」

 「はい。なんとなくですが」

 「ではそれを言ってみろ。根拠も一緒にだ」

 「はい。ご主人様は自分に反抗的な態度を取る、もしくは対等に話すことのできる女を求めて私を買ったのでしょう。そちらの御三方を見れば自ずとわかります」


 そういってクスリと微笑むセリーナはリリアとルルア、レヴィアナに目を向けた。


 セリーナに視線を向けられた三人は彼女の発言があっているのかと目線で問いかけてくる。

 

 「セリーナの言うとおりだ。お前たちは基本的に俺に対して従順だからな」

 「それなら言ってくだされば私が頑張りましたのに‥‥‥」

 「私はかなり対等に接していたと思うんだけど‥‥‥?」


 リリアは頬を膨らませて拗ね、ルルアは不満気な顔をする。

 2人を宥めるように俺は自分の考えを口にする。


 「リリア、俺が求めているのは表面上だけのものではない。ルルア、お前もそれなりに対等な態度ではあったが俺が求めるところには届かない。それとーー」

 「「?」」


 俺が少し間を開けると、2人は揃って小首を傾げる。


 「ーーお前達にはそのままでいてもらいたいからな」

 「‥‥‥‥ッ!」

 「‥‥‥不意打ちは反則‥‥」


 俺の言葉にリリアは言葉を失い、ルルアは顔を俯かせて呟く。

 だが、どちらも喜んでいることはわかる。

 耳まで真っ赤だからな

 

 しばらく回復しそうにない2人から目線を外し、セリーナに向ける。


 「お前が口にしたことは確かに俺の考えと同じだ。だが、一つ問題がある」

 「私がご主人様に惚れていないことですね」

 「その通りだ」


 俺はハーレムを作るという目標を達成する上で、俺に心の底から惚れていない女はハーレムに加えないと決めている。

 これは俺を利用しようとしたり、貶めようとしたりする者を内側に入れないために定めたことだ。

 

 だが、俺はこの定めを破ってでもセリーナが欲しいと思った。

 それでも、自分の身を守るためにも、俺の女であるリリアとルルアを守るためにも定めを破ることはできない。


 だからーー


 「お前を俺に惚れさせてやろう、セリーナ」

 「それはそれは。楽しみですね、ご主人様?」


 セリーナを堕とす。

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