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奴隷オークション-3

 少女の美しさに全員が目を奪われ、会場内に静寂が満ちる。


 そんな中、ステージの上で圧倒的な存在感を放つ絶世の美少女は俺をまっすぐ見据えて微笑んだ。

  

 瞬間、俺の目の前で魔力が弾かれる。

 

 いや、魔力ではなく魔法か。

 魔法が飛んできたと思われる方向に目を向けると、ステージの上の美少女ーーセリーナが目を見開いてこちらを見ている姿が目に入った。


 「‥‥‥あいつか」

 「旦那様、どうかしましたか?」

 「あの少女から魔法を飛ばされた」

 「えっ?」

 「問題はない。レヴィアナ、リリアとルルアに結界を張れ。俺には必要ない」

 「承知しました」


 俺はリリアとルルアに結界が張られたのを確認し、一歩前に出る。

 そして、ステージ上に立つ少女に向かって魔力を解放する。


 俺の魔力に当てられた少女がステージ上で軽くふらつく。

  

 その様子を見つつ、少女が何故俺に魔法を飛ばしてきたのかを考えていると、司会の男が少女の美しさに固まっている者達の目を覚ますように声を張り上げた。


 「皆様、そろそろ競りに移らせていただきます!値段は2億ゼニス、単位は1000万ゼニスで開始です!」


 瞬間、会場内を怒号が埋め尽くした。


 「2億5000万だ!」

 「私は3億出すぞ!」

 「こっちは4億だ!」

 「4億3000万!」


 男共が情欲のこもった目を血走らせ、先ほどとは比べ物にならない金額の上げ方をしていく。

 どんどん上がっていく金額に司会の男は喜びの感情を抑えきれておらず、口の端に笑みが浮かんでいる。


 そんな欲にまみれた者達に一切の目を向けず、セリーナは崩れた体勢を直すとその瞼を閉じた。

 そしてゆっくりとその瞼を開き、俺ををまっすぐと見据えた。


 ()()()で。


 「ッ!!ククッ、クハハッ、クハハハハハッ!」

 「旦那様?」

 「レイス様?」


 突然笑い出した俺をリリアとルルアが訝しげな目で見てくるが、それは意識の中に入らない。

 俺の意識は今、ステージの上の少女ーーセリーナにだけ向けられている。


 「面白い!実に面白い!俺はあいつが、セリーナが欲しい!」


 セリーナの蒼い瞳。

 あれは人類のの敵とされている吸血鬼の王の中の王、吸血鬼の(エンペラー)蒼き皇帝(オブ ヴァンパイア)の証。

 かつて、たった一体で一夜にして人類の半分を殺したと言われている存在である証。


 あの蒼い瞳は制御することができなかった莫大な力の一部が肉体に現れたものだと言われており、本来隠そうとして隠せるものではないと言われている。

 それにも関わらずセリーナは蒼い瞳を紅い瞳に変化させ、隠していた。

 

 その事実はセリーナが過去の吸血鬼の(エンペラー)蒼き皇帝(オブ ヴァンパイア)以上の力を持つことを意味する。

 

 絶世の美貌を持ち、未知数な力を持つ人類の宿敵である女。

 セリーナはこれ以上ないほど俺に相応しい。


 「レヴィアナ、俺の個人資産はいくらある?」

 「この場にいる人間が持つものを全て合わせても到底達することはできない額がございます」


 それを聞いた俺は悪役らしい笑みをその顔に浮かべた。




 

 今だに上昇し続ける金額。

 すでに10億ゼニスを超えているにも関わらずペースは落ちているが金額は上がり続けている。


 「10億2000万!」

 「10億5000万!」

 「10億6000万!」


 怒号が飛び交い自分の声すら聞こえない中で俺は静かに、けれども全体に響くように言った。


 「100億」


 瞬間、会場はそれまでの騒がしさが嘘のように静まり返った。

 全ての視線が俺に集中する。


 「そいつの価値は100億だ。文句があるのなら俺以上の金額を出してみろ」


 誰もが声を出そうとはしない。

 静寂が続く中、俺は何も言わずに呆けている司会に向かって言った。


 「司会、これは俺が落札したということでいいのか?呆けていないでさっさと言え」

 「‥‥‥は、はい。100億以上の方はいらっしゃいませんか?‥‥‥で、では、100億ゼニスで落札です!」


 司会が落札の宣言をした瞬間、セリーナは俺のものとなった。

 

 

 

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