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3/7

どうも。山田ノロのママです。

「うええぇえんすみませんすみません」

「ええから黙って食いなん」

 我が家のリビングで、フルプレートショタハーフエルフが塩トマト食ってる。……どういう状況?

 私は食卓のちゃぶ台に置いた漆黒の兜を見て、そしてイケアで19800円だったソファで塩トマト食ってるショタエルフの顔を見た。

 エルフといえば美形(オーランド)だが、たしかに美少年(オーランド)級といえる。

 髪は淡い茶色。頬はつるっとしていて、髭が生えてくる兆候はまだない。瞳は緑で、耳は長い。

(エルフじゃん)


「……すみません。たびたびご迷惑をおかけしまして……五臓六腑に染み渡りました」

「その顔で五臓六腑の言い回し完璧でびっくりですよ」

「母が日本人なもので」

「あの、つかぬことをお伺いしますが、炎天下になぜ鎧を着て出るなんて危険な行為を? 」


 彼は苦笑した。

「ああ、脱げないんですよ」

「それは宗教上の理由だとかで? 」マンダロリアン的な?

「あ、いえ。この鎧、うっかり着たら呪われていて。この体では実家の仕事も手伝えないので、こちらでリモートワークができる仕事を探して来てます……」

「はぁ、それで……」VTuberになろうと……。

「はいぃ……」

「……」


 会話が途切れてしまったー!

 

 お隣さんは、「あっ、つい言っちゃった」みたいな顔をしている。

 そうだよね! ファンタジー設定いきなり語り出しちゃった人になってたもんね! (その設定、Ⅴのキャラ設定じゃなくてリアルのやつなんだ……)って思ってるよ私でも!


 いや、これは私が悪い。好奇心から意図せずパーソナル情報を引き出してしまって、気まずくなって黙ってしまった私が悪い! これだからコミュ障は!



「……あっ! あの、ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありません。ぼくはその、301の田中ノロといいます」

「うっ……! 」


 私はたじろいだ。気を使って自己紹介の流れを作ってくれた。それは分かってる! しかしこの瞬間、私の目の前には、二つの選択肢がボーンッと展開されたのだ。つまり、職業と身分を明かすか否か!

 シンキングターイム!

 ……するまでもないか。



「あの……すみません実は、ワタクシはこういったものでして……」

 すすす。名刺を差し出す。

「こ、これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。すみません気を使っていただいて……。


 あえ……? ほわ、えっ、ええっ!?


 ひぇぇえええええっっっ!!!! 」





 いえほんと、こちらこそ。





 すみません……。


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