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第18話 愚痴はあるけどね

「ともかく、信長様があれこれ無茶してくれたおかげで、十二人いる悪魔とほぼ同時に戦わなければならなくなったんです。そこで、皆さんに手伝ってもらいたいんですよ。って、私も無理やり手伝わされていますからね」

 隆景は微妙な空気になっていたのを無理やり元に戻し、こっちだって困っているんだと愚痴を零した。

「まあ、そうだよな。小早川といえば毛利の要。そいつを引っ張り込むなんて、普通は考えないよな。ってか、殿、その毛利と戦っている最中に死んだのに」

 その愚痴に、まだ胸を揉んでいる一豊が同情してくれた。が、今、最も悲惨な目に遭っているのはこの男だ。

「信長め。ようやく死んだと思ったのに、こんなところで好き勝手にやっていたのか。しかも俺らを巻き込みやがって」

 その横にいる高虎は、浅井あざいを滅ぼした時もムカついたのを我慢して仕えていたんだぞと、どんっとテーブルを叩く。

 お家再興のためにあちこち仕えている高虎からすれば、異世界の戦なんてどうでもいいの一言で終わらせたいところだ。そして、信長のことは好きじゃない。

「まあまあ。ともかく、こちらでも天下統一のために戦をやっているってことですね。で、ええっと十二人?」

 官兵衛は愚痴は解ったからと、話を進めてくれるかと隆景を促した。

「ああ、そうです。この魔界は十三人の王が治めていて、我々が属しているのはベリアルという悪魔の軍です。信長様はこのベリアルの息子の身体に宿っているんですよ」

「へえ」

 すでに何が何だかだよと、官兵衛は呆れ顔だ。しかし、数日先に来ただけの隆景だって、何が何だかである。

「ともかく、この西側から東側に攻め込むことになります。この魔王たちの総大将、つまり日本で言うところの将軍に当たるのがサタンです。こいつを落とすことが出来れば万事上手くいくわけですが、サタンは反対側の東側を領土に治めています。つまり、他の魔王との戦闘を避けることは出来ません」

 隆景はそれでも官兵衛ならばすぐに理解してくれそうだと説明を続けた。

「なるほどな。つまり、東側で大同盟を結ばれる前に素早く侵攻する必要があるというわけか」

 そして官兵衛、やはり物分かりがよく、すぐに納得してくれた。

「そうなります。しかも、サタンの手前にあるルシファー、ここがどうやら戦争において要になるようで、ここをいかに素早く押えられるかが決め手になるようです。しかし、そのルシファーはサタンと強力に同盟を結んでいる状態だとか」

 ここが難しい上に周囲からも攻め込まれるという状態だ。戦は広域でかつ同時進行にやっていく必要がある。

「なるほど。軍略を一人で立てるのは無理と悟り、私を呼んだわけか」

 官兵衛、自分が呼ばれた理由がよく解ったと納得。

「そういうわけです。それで、山内殿と藤堂殿にはバエルという、東側に打って出るのに真っ先に落とさなければならない魔王と戦ってもらいたいんです」

 隆景は二人に戦を頼むと頭を下げる。

「戦はいいが、何がどうなっているのか」

「それは私が教えてあげよう」

 困惑する二人に、そう言って声を掛けたのはベリアルだ。

「彼がここの魔王です」

 隆景がすぐにそう紹介する。

「異世界の者たちよ。どうか、魔界の統一に力を貸してほしい。私はどうしても、この世界が欲しいんだ」

 そしてベリアルは、今までとは違い、野望を前面に出してそう言った。

 その姿は天下統一に燃えていた信長にそっくりで、胸を揉んでいた一豊も真面目な顔になり

「やるだけやりますか」

 と戦を引き受けたのだった。

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