第15話 調略は大事
「それじゃあちまちまとし過ぎている。おい、そのレヴァイアタンの後ろは誰だった?」
しかし、信長はそいつと同盟を結ぶのは面倒だと言い出す。
「アバンドンですね。現状、レヴァイアタンはアバンドンの動きを気にしながら動いています。ですので、すぐに動けません。こちらと同盟を結びますか?」
サリエルは調略は簡単だと思うと付け加えた。
「なるほどな。小早川、そいつとの同盟の準備を進めろ」
「解りました」
「それと東側ももう少し先を気にしておく必要があるな。バエルの背後は誰だ?」
この間は疲れてて寝ちゃっていた信長だが、今日はきびきびと訊いてくる。
「マモンとルシファーですよ。ただ、ルシファー王はサタン王と同じく強いですからね。同盟を結ぶのも侵攻するのも難しい相手です。それに、そこに攻め込んだとなれば他が一気にルシファーの味方に付くでしょう。難しい相手です」
サリエルはどう考えると、試すように説明を続けた。それに信長はふうんという顔をすると
「小早川、お前は全員の状況を聞いたよな」
この間残って全部把握したよなと確認する。
「はい。東側はそのルシファーを始め、サタン、ベルゼビュート、アスモデウスという軍事力の高い者たちが支配しています。つまり、ルシファーの領土を越えることが出来るかどうか、が魔界を統一できるかどうかに関わってくるというわけですね」
それに隆景はこう考えろということでしょうと述べる。
「つまりは要か」
「ええ」
「となると、まずはマモンを調略しておく必要があるな。そいつがバエルと同盟を結び、さらにルシファーが出てくるような事態を避けなければならないだろう。小早川、やっておけ」
「・・・・・・はい」
全部こっちに振るんですねと隆景は呆れつつも、軍略として間違っていないので頷いておいた。
「長宗我部、お前はバエルという奴の領土を覗いてこい。まだ交戦中じゃないからな。見物するくらいは何とかなるだろう」
「ほう。面白そうだ」
隆景のせいでこっちに呼ばれた元親は、まだ地図さえ見ていない状態だ。見聞を広めることが出来るのは有り難い。
「では、バエルの治める国について詳しい者を付けましょう」
それに案内役はこっちで用意するとサリエルは申し出る。
「ああ。頼んだぞ。俺は親父殿のところに行ってくる。早く進めろ」
信長は三人にちゃんとやっておけよと手を振って去って行った。その背中を見送りながら、三人が同時に溜め息を吐いたのは言うまでもなかった。
「敵襲!」
利家と慶次がザリチェから戦の説明を受けていると、外から大声で敵が来たことを告げる声がした。それと同時にラッパが鳴る。
「敵だと」
ザリチェはいきなり攻めて来たなと焦るが
「ほう。直接見れるのはいいな。おいっ、すでに陣形は組んであるのか」
利家はここでずっと相手と睨み合っていたんだから準備は出来ているんだろと訊く。
「もちろん。しかし、アスタロトの軍は空と地上のどちらからも攻めて来ますからね」
ザリチェはのんびりはしていられないと立ち上がる。利家と慶次もすぐに司令部のテントから出た。
「おっ、空からだ」
慶次はすぐに空を飛び交う飛龍を見つけた。その数ざっと五十。さらに地上からも来ているようで、土煙が見えた。
「上の奴らは雷で落とせるかな」
「やってみるか」
慶次と利家は頷くと、すぐに剣を構えた。
「そ、それは」
ザリチェは雷撃大剣を持っているのかと驚く。それほどの武器を持っているとは聞いていなかった。