表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
螺旋を描く魔術師 ~力こそパワーというのは時代遅れだ~  作者: 古賀ノコギリ
序章 少年時代
1/32

プロローグ

 「おお、この子は魔力を表面化させられるのですか!確かあなたの家系には魔術師はおられなかったはずでしたな?」

 「そうなんです!魔術なんて縁のない世界で慎ましく生きていくのだと思っていましたが、もしかしたらこの子の代から魔術師の家系として国に認知してもらえるんじゃないかと思わず期待してしまいますよ!」

 「そうですね、この子がどれほど成長するかによりますが私も楽しみですよ。」


 大人達が俺のことではしゃいでいる。

 俺の母さんであるニーナ、父さんのオーリス、教会のマイルズ司祭だ。

 普段は近所のみんなと授業を受けている教会だが、父さんが俺と母さんを連れて司祭のおじさんと大事な話がしたいとか言って他に誰もいない部屋で鍵をかけて話が始まったんだ。

 ま、俺ももう10歳だから話の内容は大体わかる、というか俺の話だからそりゃそうなんだけど。

 人間はみんな魔力を持って生まれてくるけど、ほとんどの人は体の中で眠ったままらしい。

 魔術師の家系でもない人の魔力が表面化するのは一般人だとかなり低い確率なんだって。

 でも表面化した魔力をコントロールするのはめちゃくちゃ難しいんだとか。

 魔力を完璧に扱える人は国から魔術師免許とかいうのをもらえて仕事に困らないし給料もいいらしい。


 で、なんで父さんは俺が魔力を使えると思ったのかというと、昨日父さんの夕飯の準備を手伝って肉や野菜を切ってたらうっかり左手の人差し指を切りそうになったんだ。

 でも痛くなかったし血も出なかった。指に当たるギリギリのところで包丁が止まってた。

 それを見た父さんは無意識に魔力で自分の身を守ったんじゃないかって考えたらしい。

 司祭のおじさんも同じ考えらしいから、俺が魔力を使えるのは本当なんだそうだ。


 「では、国に申請して魔術師を派遣してもらいますか?」

 「ええ、そのつもりです。この子が将来どうなるにしても、選択肢があるに越したことはありませんから。」

 「しかしニーナさん、その結果家業は継がなくなるかもしれませんぞ。よろしいのですか?」

 「それならそれでいいんです。ウチのやる気のある従業員の誰かに継いでもらう方が安泰ですよ。ですのでマイルズ司祭、申請よろしくお願いしますね。」

 「承知しました。派遣される魔術師は私が選べるわけではありませんが、よき師と巡り会えることを願いますよ。」

 「ありがとうございます。それじゃあオーリス、派遣される先生とうまくやってね?あなた人見知り激しいから失礼のないように頼むわよ。」

 「あ、ああ。この子の将来を左右するかもしれないからね。父親として、誠実な対応をしてみせるよ。」


 こうして、俺―――ロッド=ナターンの魔術師を目指す日々が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ